日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『亜人ちゃんは語りたい 公式アンソロジーコミック』
『亜人ちゃんは語りたい 公式アンソロジーコミック』
ペトス(原作) 山本崇一朗/吉元ますめ/ヤス/位置原光Z/アズ/吉谷光平/江戸パイン ほか(著)
講談社 ¥602+税
(2017年3月17日発売)
TVアニメ放送が終わった『亜人ちゃんは語りたい』のアンソロジーコミックが、2冊発売されている。
その1冊が、講談社から出ている『公式アンソロジーコミック』。
ヤングマガジンサード2017年Vol.2から掲載された、様々な漫画家たちによるアンソロジー企画をまとめたもの。
山本崇一朗、吉元ますめ、ヤス、位置原光Zなどの面々が集まっている。
『亜人ちゃんは語りたい』の魅力は、亜人(デミ)を中心とした青春群像劇、ヴァンパイアひかりのポジティブさを軸にしたドタバタギャグ、そして社会がマイノリティをどう受け止めていくかの思想部分だ。
アンソロでは各作家が、あらゆる切り口で作品の根の部分を解釈している。
アズが描くのは、雪女の日下部雪がシモネタでの爆笑をこらえすぎておかしくなってしまう話。
『手品先輩』で得意とするちょいエロネタをフル活用し、クールに見えて意外とテンションのおかしい雪を描いている。
吉谷光平はサキュバスの佐藤早紀絵を題材に、ひとり暮らし女性のさみしさと色気を描く。
彼女は常に誘淫能力を抑えているため、本当のエロスを知っている人間は当然いない。けれども家具たちは、彼女のドエロスをよく知っている。
早紀絵ひとりの生活は、ちょっとせつない。早紀絵は今回のアンソロで多く登場する人気キャラ。
江戸パインの描く、ひかりの双子の妹・ひまりの話は、原作にある“亜人に対する思いやり”“亜人側の思いやり”をうまく表現している。
どちらも対等であると同時に、亜人ゆえに周囲の扱いに差が出てしまうのは、原作の思想をうまく捉えている。
同じ日に発売されたのは一迅社の『亜人ちゃんは語りたい コミックアンソロジー ガシガシ』。
ガシガシとはひかりが甘噛みする時の擬音。
こちらでも早紀絵さん大人気。“ひとり暮らしのちょっとダメな女性”は、昨今のマンガのトレンドを見ても、ストライクな人は多いハズ。
こちらは大分ギャグ寄り。いたずら大好きひかり、まじめで恋する乙女な町、笑いの沸点が低い雪、エロい早紀絵が好きなら、オススメ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」