365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
4月24日は日本ダービー記念日。本日読むべきマンガは……。
『小学館文庫 ダービージョッキー』第1巻
(画)一色登希彦(案)武豊 小学館 ¥743円+税
昭和7年(1932年)4月24日、今はなき目黒競馬場にて、英国の「ダービーステークス」を参考にした3歳馬(当時は数え年で4歳馬と表記)の頂点を決めるレース「東京優駿大競走」が開催された。
1着賞金は1万円。何を基準にするのかで貨幣価値は違ってくるが、当時の銀行員の初任給が約70円、現在が約20万円(メガバンク)で約3,000倍。つまり3,000万円前後といったところか。この高額賞金に惹かれて出馬登録が殺到、最終的には19頭で争われることになり、圧倒的な1番人気に支持されたワカタカが優勝した。
てなわけで、本日は日本ダービー記念日。そんな日にふさわしいマンガといえば、この作品しかないだろう。歴代最多、5度のダービー優勝を誇る武豊騎手が原案を担当した、一色登希彦の『ダービージョッキー』だ(「週刊ヤングサンデー」にて1999年から2004年まで連載)。
競馬学校に通う血気盛んな上杉圭がくせのある練習馬・フラワーカンパニーと出会い、不幸な別れを経て中央競馬の騎手に。やがてフラワーカンパニーの弟・ラフカットジュエル(幼名・トビオ)の主戦騎手として、兄の果たせなかったダービー制覇に挑み始める。
個人競技ではなく、馬主や調教師、そしてほかの騎手との兼ね合いなど、複雑な人間関係で成績が左右される競馬の世界は読者に伝わりづらい部分が多いが、現役のトップ騎手が原案に入り、卓抜した構成力を持つ一色が描写したことで、そこをクリア。競馬村でのリアルなやりとりのおもしろさはもちろん、騎手視点のレースシーンはド迫力で、読みごたえたっぷりだ。
一方、主人公がデビュー2年目にしてダービー制覇を目指すという胸熱の展開はマンガ的ケレン味にあふれており、全巻イッキに読ませてしまうだけの力にあふれている。
サラブレッドにとって生涯一度の大一番であり、日本のホースマンの夢である最高峰レース「東京優駿(日本ダービー)」。84回目を数える今年は5月28日に東京競馬場で開催される。牝馬のファンディーナが牡馬さながらに「皐月賞」から参戦するという話題性もあり、例年以上に盛り上がることは必至。
2400メートルの濃厚なドラマをたっぷりと堪能しよう。
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。今年のダービーは皐月賞組ではなく、トライアル組のアドミラブルを狙います!