日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『手品先輩』
『手品先輩』 第3巻
アズ 講談社 ¥565+税
(2017年4月6日発売)
手品をするたびにえっちな失敗ばかり繰り返す、お色気コメディも3巻目。
奇術が大好き、だけどド下手くそな先輩。
無理やり引きこまれて助手にさせられた1年生の男子。
第2巻までは2人でドタバタやっていた(主に先輩が)ところに、大道芸大好きギャルの咲と、弟の正志がやってきて、部員は4人に。
バルーンアートなど大道芸ネタも増えて、バリエーション多彩になった。
このマンガの目玉のひとつは、「抜けていてスキの大きい子はかわいい」という主張のブレなさ。
年上なのにいっさい頼りがいがない先輩は魅力的。
特に恋愛関係じゃないけれども、助手のことをすごく慕ってなついてくるのもかわいらしい。
ストップかけないと無邪気に危ないことをやらかす、放って置けない感も愛しい。
非常に、わんこっぽい。
一方で咲は、大道芸技術はそこそこあり、投げ銭をもらえるほど。
正志がらみになるとポンコツになるけど、基本立ち回りが賢い。
咲が賢い行動を取れば取るほど、先輩のアホさが目立つ。
咲がポンコツになるほど、先輩との相乗効果で手に負えなくなる。
咲と先輩が並ぶと巨乳がならんで迫力がある。
濃すぎる先輩を、うまく引き立てるキャラになっている。
4人になると、人間関係の見え方が変わってくる。
今までは助手が、先輩を冷たい目で見ながら、おっぱいに目を惹かれる程度の日々だった。
人数が増えたことで、あらためて客観的視点が入り、先輩と助手の距離感がはっきりしてくる。
第41話は、助手が居眠りしているところで先輩が手品をひとりでする回。
咲たちは出てこない。
先輩が手品をやめ助手を起こそうと、寝ている彼の前に座り、静かに彼の髪の毛を触れようとする。
なんとなく芽生えている先輩と助手の、恋でも友情でもない、名前のつかない関係は、ちょっとだけ青春めいている。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」