日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『手品先輩』
『手品先輩』 第1巻
アズ 講談社 ¥565+税
(2016年8月5日発売)
「週刊ヤングマガジン」連載作『手品先輩』の初巻にして作者であるアズ初の単行本がさる8月の初旬に発売された。
内容は、とある高校を舞台に、強制入部制のせいで入部先を選ぶことになったヤル気の薄い後輩男子と、彼を無理やり引きずりこんだ奇術部の先輩女子が繰り広げるショートギャグ連作。
1話あたり1~6ページ程度の小編を数本並べた詰め合わせ形式だ。
タイトルどおり毎回何かしらの手品をお題とし、先輩がいろんなマジックに挑戦しては極度のアガリ症のせいで大失敗、後輩にツッコミを入れられたり放置されてしまうという仕立てになっている。
見どころは、しくじった結果いつも絶妙にエロい構図になってしまう先輩のスキの多さ。
縄抜けをすればロープがからまって緊縛状態になり、箱から脱出しようとすればなかでひっくり返ってパンツもろ出しになり、早着替えをしようとすれば肝心の着替えを忘れて裸マントになり……と、ドジとエロスの相転移が連発。後輩くんはそのたび興奮したりドン引きしたりと忙しい。
特に第4話の第4編、先輩がマジック用のハトを操ろうとしたら暴れたハトが服のなかにつっこんできてスカートの股下からひょいと顔を出すトラブルを“ハト出産マジック”といいはる絵ヅラが必見。
このマンガのエッセンスが強烈に噴き出している。
ところで、ちょっぴり色気がにじんでドキドキさせる年上ドジっ子ヒロインとの基本1対1の専門分野コント作品、といえば、そう、『だがしかし』に通じる趣向があるなあ……そう思う人も多いであろう本作。
じつは単行本化にあたり、オビの推薦コメントを寄せたのがまさしくその『だがしかし』作者のコトヤマ先生だったりする。
この公式、作品をちゃんとわかってるぅ!
<文・宮本直毅>
ライター。アニメやマンガ、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7