日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『必殺の転校生/華麗なる挑戦者 島本和彦 漫画全集』
『必殺の転校生/華麗なる挑戦者 島本和彦 漫画全集』(Kindle版)
島本和彦 ビッグバンプロジェクト ¥500
(2017年3月30日発売)
著者の島本和彦本人が編集する電子書籍『必殺の転校生/華麗なる挑戦者 島本和彦 漫画全集』が、3月30日よりKindleストアにて配信された。
収録されているのは、「必殺の転校生」や「華麗なる挑戦者」などといった、デビュー前後に描かれた作品たち。
2014年にドラマ化された島本和彦の自伝的作品
『アオイホノオ』作中で執筆当時の模様が描かれていただけに、同作の読者にはたまらないラインナップだ。
学園マンガを描くことになるも、校舎や机が描けないことでつまづき、そこから原秀則の『さよなら三角』や、車田正美の『リングにかけろ』に触れたことでひらめきを得た「必殺の転校生」。
そして、その続編である「必殺の転校生2」のネーム原稿や、デビュー前に同人誌で発表した私家版まで、若かりし日の根拠なき自信にあふれていた焔燃(ホノオ・モユル)が、島本和彦という漫画家へ完成していく軌跡の始まりを、じっくりと堪能できる。
また、巻末には、島本が「“手塚治虫漫画全集”のあとがきみたいな文章になってしまった」と語るあとがきも収録。たしかにそれっぽい! と思わせる自嘲的な語り口とともに当時のエピソードが語られており、こちらも必読の内容だ。
『島本和彦漫画全集』シリーズでは、本作に続いて、『ワンダービット』と、 『仮面ボクサー』が4月末に配信が開始されている。今後のラインナップにも、ぜひ期待したいところだ。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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