365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
6月1日は鮎の日。本日読むべきマンガは……。
『釣れんボーイ』
いましろたかし KADOKAWA ¥1,980+税
6月1日は「鮎(アユ)の日」。全国鮎養殖漁業組合連合会によって2014年に制定され、本日を鮎釣りの解禁日としている地域は多い。放流体験など様々なイベントが各地で行われている。
今年も全国の河川に早朝から鮎を求めて多くの釣り師が殺到することだろう。
そんな「鮎の日」にふさわしいマンガといえば『釣れんボーイ』一択。
主人公は釣り好きのアラフォー漫画家・ヒマシロタケシ。釣りのなかでも特に鮎の友釣りが大好きで、シーズンの開幕とともに、バイクや車で日本全国の川を行脚する。
オフシーズンには海釣りに出かけることもあるが、やはり基本は川。
それも鮎。鮎の友釣りが断然おもしろいことを作中で伝えてくれる。
釣り具屋や旅館や食堂などから穴場情報をゲットし、戦略を練りながら鮎と対峙、ときには大会に出て順位に一喜一憂するその姿はじつに楽しそう。
6月から9月という短期スパンの漁期も、鮎釣りにハマる要素のひとつ。シーズン中は少しでも時間ができれば、鮎を釣りにいく。それは「もう、明日はない」という強迫観念にも似たものだという。ヒマシロ先生に「世界にお前ほど面白い魚はいない」とまでいわせてしまう鮎は、まさに魔性の魚だ。
一方、仕事場や都会でのヒマシロ先生は、いい女を抱きたいとか、お金がないとか、身体が痛いとか、仕事したくないとか、常にボヤき続けている。そのコントラストが楽しい。
そして、ひとたび竿を握れば「将来なんか知らんもんね」と鼻歌混じりになるヒマシロ先生の日常に、なんだか憧れてしまう。
しかし、昨年刊行された14年ぶりの続編の『新釣れんボーイ』では、そんな状況が一変していた。
すでに50代半ばになったヒマシロ先生は、金欠もあって以前のように頻繁には釣りにいけていない様子。東日本大震災と原発事故も、彼に大きな影響を与えた。
「まんが描いてるより100倍おもしろい!」といいながらドーパミンをドバドバ出すような描写は皆無である。
『釣れんボーイ』時代のヒマシロ先生は、ブーブーいいつつもアシスタントを雇って、たくさん仕事をして、眠い目をこすりながらバイクや車で全国の河川へ飛びまわっていた。
もう一度、ヒマシロ先生がハツラツと釣りができる世の中が、早くやってきてほしいと切に願う。
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。