日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『明日ちゃんのセーラー服』
『明日ちゃんのセーラー服』 第1巻
博 集英社 ¥600+税
(2017年4月19日発売)
田舎に暮らす明日小路(あけび・こみち)は小学校の頃、アイドル・福元幹(ふくもと・みき)に憧れていた。
彼女のセーラー服にすっかり魅了された小路は、どうしてもその制服が着られる学校に行きたいと、中学受験をして入学。
セーラー服を着た彼女はとても幸せいっぱい。
ところが今は制服がブレザーに変わっており、旧制服のセーラーを着ているのは自分だけ。
それでも彼女は、セーラー服を着て学校に通うことを決意する。
『ゆめくり』を描いていた著者・博は、美少女表現へのこだわりが尋常じゃなく強い漫画家だ。
幼い少女の柔らかさ、美しさ、しなやかさを極限まで追い求める作風。
それをマンガのコマのなかで生かし続けていたが、ついにこのマンガでは、少女を描くためにコマすらも消失した。
第1巻を開いてすぐのプロローグ、小路が側転からバク転、さらに技を決めるシーンがある。
ここに枠線はない。小路がまるでアニメーションのように、ページをフルに使って躍動する。
中学に登校する途中に、ポニーテールをしばる仕草が繊細に、これまた枠のないページで、流れるような動きで描かれる。
新しい中学校は、小路が通っていた過疎の小学校と違い、人が多く、ともに学ぶためのルールもはっきりしている。
学校で知りあう人たちや、初めての給食など、小路は何もかもが楽しい。
極めて純粋な彼女に、同じクラスの子もどんどん惹かれていく。
小路は“かわいいこと”に憧れている。
でも本作を読めば、彼女自身が圧倒的なかわいらしさをすでに爆発させているのが、ひと目でわかるはずだ。
はつらつとした小路は、マンガという枠組みをどんどん飛び越える。
水彩で描かれた田舎道を駆け抜ける小路は、生命力にあふれている。
セーラー服少女の小路がメインだが、クラスメイトの女の子たちのブレザーもこれまた美しい。
制服好きな人は、今すぐ買って読むべし。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」