業界注目度No.1!?
「このマンガがすごい!WEB」が誇るランキング選者に協力いただくアンケート集計をもとに、決定される毎月恒例の「このマンガがすごい!」ランキング。今月のランキングは……。
これは『まんが道』? それとも『修羅雪姫』?
『ハイスコアガール』『ピコピコ少年SUPER』『HaHa』などなど、これまで「このマンガがすごい!」で注目されてきた押切蓮介先生の最新作が今回の第1位! 気になる内容は“世はまさに世紀末…”なテンションでシビアなマンガ界のリアルに迫る、漫画家マンガだった!?
さらには、天真爛漫なセーラー服美少女JC、「性」に荒ぶる文学JK、“3日間で人類を滅亡させる計画”を考えるハイスペック美人秘書などなど、ひとクセもふたクセもあるヒロインが登場するマンガが、今回は勢ぞろい!
旬なマンガが多くランクインした今月のランキングを、アンケート回答者のオススメポイントとあわせてチェック!!
(2016年4月1日~4月30日発売作品を集計)
第1位(208ポイント)
『狭い世界のアイデンティティー』 押切蓮介
『狭い世界のアイデンティティー』
押切蓮介 講談社
大手出版社・件社(くだんしゃ)が帝王ホテルで開催された忘年会……。その会場に「週刊グッドナイト」年間賞佳作の受賞者でもある、少女・神藤マホが招待状を持ってやってきた。
彼女は、かつて件社にマンガの持ちこみにいって死をとげた、兄の仇を討つため彼を殺した者を探しに潜入したのだ。マホが探す“犯人”は、傲慢な編集者か? それとも嫉妬に燃えるベテラン漫画家か? マホの復讐劇が始まる!
ゲームマンガや半自伝的マンガで「このマンガがすごい!WEB」のランキングに何度も登場している著者の最新作は、マンガ業界を極端にカリカチュアライズした「押切版・まんが道」!?
荒唐無稽な展開ながらも、なぜかリアリティを感じてしまうのは、マンガ業界のシビアな一面もしっかり描かれているから! 第1話からインパクト抜群で、今後の展開にも注目です!!
オススメボイス!
■『描クえもん』と同じタイミングでくしくもマンガ界の内情暴露ものだが、さすが押切先生。暴力描写を美しい絵で魅せる。タイトルも秀逸。だって人間ってそういうことでしょ。しかし透徹した眼を持ちたいな。で、勝ちあがりたいものですよ。人間界とはバトル。ヒューマンレースなのですから(今村方哉/レコード会社勤務)
■「マンガ業界バトルもの」という新しいジャンルで各方面にケンカ売りまくり。最高(小田真琴/女子マンガ研究家)
■兄を出版社に殺された妹が、ペンと己の拳を用いて悪鬼羅刹はびこるマンガ業界をのし上がっていくという、「まんが道」ならぬ「MANGA怒りのデスロード」。現実的にはありえない設定だが、マンガ業界と格闘という要素が良いバランスでブレンドされていて違和感を感じさせないのは、押切先生のセンスとしか言いようがない!! 最高!(ゴロー/AV男優)
■欲望と暴力うずまくマンガ業界。「こんなことありえない」を描いているのに、漫画家・編集・書店員……どの言い分も「こんなことありえない」ですませられないリアリティを感じさせるから恐ろしい(ササナミ/ブログ「雑食商店街3373番地」管理人兼書店員)
■狭い世界で横のつながりをつくり、小競りあいを続ける現代の「漫画家」という生き物の生態を、暴の力でねじ伏せる凶悪な作品(?奈良崎コロスケ/博奕・マンガ・映画の3本立てライター)
■文壇に殴りかかるような、そうでないような『響』という話題作がある一方で、そのパロディのようなマンガ界に殴りかかりまくりの異色作。マンガ界をマッドマックス的な世界に描いているのでなんでもOKであるし、何がなんだかでもあるのだが、真実や本音が混ぜこんで展開されているのだとしたら、これは下手にドキュメンタリータッチで描かれるよりもエグい(happysad/「マンガ一巻読破」管理人)
■編集王ネタはスルーできなかった(漫画トロピーク/謎の社会人漫画サークル)
■かの押切蓮介先生が「漫画家マンガ」を描くとなれば、ひと筋縄でいくわけもなく。マンガ業界を、下手うった作家や編集者が暴行・拷問・惨殺のえじきとなる修羅の巷として描く本作は、異様なる想像力の産物でありながらも「そのくらい過酷な業界なのだ」という寓話として逆にリアリティも持つ不思議な説得力に満ちています(宮本直毅/ライター)
■世に漫画家マンガ多かれど、リアルに漫画家の姿を描くマンガはじつはそれほどないように思う。特に漫画家社会の「横」という面に目を向けたものとなると、ぐっと少なくなる。本作はその例外、本当にリアルな漫画家マンガである(raven/ディレッタント)
第2位(118ポイント)
『青のフラッグ』 KAITO
『青のフラッグ』
KAITO 集英社
高校3年生になった一ノ瀬太一(タイチ)は、小学校時代からの幼なじみ・三田桃真(トーマ)と同じクラスに。かつては親友同士だった2人だが、トーマが長身イケメンに急成長したためにタイチはやや気おくれしていた。
そんなある日、同じクラスの空勢二葉(くぜ・ふたば)に突然話しかけられるタイチ。どうやら彼女はトーマに思いを寄せているようでタイチに相談してきたのだ。
タイチはいきがかり上、彼女の恋路を応援することになるのだが……。
進路や将来に悩み始める高校3年生という“大事な時期”に、ふって沸いた恋愛問題! お互いに勘違いしたり、すれ違ったり……思うようにいかない青春に四苦八苦する少年少女たちに、胸キュン必至……と思ったら、読者の意表をつく、複雑な多角関係展開に、ドキドキ&モヤモヤが止まらない~~!
オススメボイス!
■「ジャンプ」レーベル(プラスだけど)ではなかったような、せつない系青春物語。その内容がネット上で話題になったりとしていますが、全体的なマンガ力が高く読み進めていくと惹きこまれるものがありました。とりあえず1巻を読んでみてください! 「え?」ってなって読み返すことになると思います(麻野昌三/「わんだ~らんど」なんば店 店長)
■表情の描き方、コマの使い方が最高! 青春の若葉薫る群像劇(太田和成/「TSUTAYA BOOK STORE」五反田店 コミック担当)
■全体的にブラッシュアップされた感があって読みやすかったです。少女マンガ感もだいぶアップ。しかし、KAITO作品には必ず初対面で攻撃的な女子がいますね!(黒鈴/電子書店スタッフ)
■呼吸を忘れるほどの青春がつまっている。それぞれの立場から抱く「恋心」に、狂おしいほど魅了されてしまう(ふな/ブログ「いつかたどり着く」管理人)
■引っこみ思案な空勢さんの、変わろうとがんばる姿が応援したくなる、青春物語。恋の力って偉大ですね。そんな、どストレートな恋愛ものの面もありつつ、放りこまれる友人・トーマに、伊達さんの想い。ドキドキしつつページを繰ってしまいます(山本浩平/まんだらけうめだ店コミックスタッフ)
第3位(102ポイント)
『明日ちゃんのセーラー服』 博
『明日ちゃんのセーラー服』
博 集英社
田舎の名門私立女子中学校・蝋梅(ろうばい)学園を受験して合格した明日小路(あけび・こみち)は、この学園のセーラー服を着るのが夢だった。
卒業生である母親に仕立ててもらったセーラー服を着て、いさんで入学式にのぞんだ明日ちゃん! ……だったが、じつはこの学校、すでにブレザータイプの制服になってしまっていた……。
セーラー服にあこがれる少女の夢いっぱいの生活を細部までていねいに描いた、ほのぼのスクールライフマンガ。セーラー服を着たり、髪をゆわえたり……明日ちゃんのわずかな仕草も、ページを大胆に使って描かれ、1コマ、1シーン、1ページ、著者のフェティシズムがビンビンに伝わってきます! 明日ちゃんがとにかくカワイイ!
オススメボイス!
■“明日ちゃん”というキャラクターを描くために空気感やほかのキャラクターが尽くしている。圧倒的な明日ちゃんというキャラクターの存在感(太田和成/「TSUTAYA BOOK STORE」五反田店 コミック担当)
■とにかくめんこい。とにかく尊い。作品のまとっているオーラがすごい。セーラー服の少女をひたすら愛でるような丁寧かつ愛情に満ちた描写に、とにかく圧倒されっぱなしでした(杉山陽一/「COMIC ZIN」秋葉原店 コミックバイヤー)
■かわいいのなかに、しっかりとした画力がありとてもよい。どこにでもありそうな内容、世界観ではあるが、「やられたっ!」と各出版社は思ったのではないかなぁ(福丸泰幸/「喜久屋書店」漫画館京都店 店長)
■かわいいで誌面が埋めつくされている。セーラー服に初めて袖をとおすシーンに7ページかけるこだわりと、それを成り立たせる画力がすごい。物語としても、1話最後に思いもかけぬ展開があり、「どうなるの?」とやきもきさせてくれます。いいコたちだなー(山本浩平/まんだらけうめだ店コミックスタッフ)