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『両国花錦闘士〈東の横綱編〉』 第1巻 岡野玲子 【日刊マンガガイド】

2017/06/19


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『両国花錦闘士〈東の横綱編〉』

  
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『両国花錦闘士〈東の横綱編〉』 第1巻
岡野玲子 小学館 ¥1,900+税
(2017年5月15日発売)


野球好きで、ワールドベースボール社に編集部員として入社した西武ライオンズファンの淳子。
しかし彼女が配属されたのは、相撲を取り扱った「ズンズンお相撲さん」編集部!?

まるで興味もないうえに、まったく勝手のわからない角界に飛び込むことになった敦子は、そこで昇龍という幕内力士と出会うことに!
大男たちが押しあいへしあいするなかで、昇龍はイケメンのソップ型(痩せ型)。
加えて都会派のインテリで、ナルシスト。
そんな昇龍に興味を覚えるも、大手アイドル事務所のやり手女社長である桜子も昇龍狙いでライバル出現!

一方、昇龍にとってのライバルは、雪国出身で地道で朴訥としたアンコ型力士・雪乃童。
実力も人気も昇龍を上回る雪乃童ながら、彼は彼で体型と恋愛に悩みを抱えていて……。

このタイトル(読み方は“りょうごくおしゃれりきし”)と絵柄、そしてあらすじに、懐かしい!と思った人も多いはず!!

本作『両国花錦闘士〈東の横綱編〉』は、1989年から1990年に「ビッグコミックスピリッツ」で連載された、岡野玲子による同タイトル作の豪華決定復刻版。
前作『ファンシィダンス』では等身大のイマドキの修行僧たちと禅寺の内側を描いた著者が、本作では角界の内側と等身大のイマドキの力士たちを描き、話題となった1作だ。
角界のしきたりから力士たちの生活まで、様々な雑学も知れるが、あくまで相撲マンガというよりも相撲を取り囲む人たちのコメディ。
加えて、今見ても斬新なのが、古きよき錦絵のテイストと洗練されたイラストのテイストが入り混じったような絵柄。
未見の読者も、こんなマンガ、今も昔も見たことないという気分にさせられるはずだ。

連載当時は、千代の富士が全盛だった時代(淳子がこの年リーグ4連勝を決める西武ファンというあたりにも時代を感じる!?)。
今、再び相撲が脚光を浴びているということでも、ぜひ再注目したい1作だ。
昇龍も雪乃童も、それぞれコンプレックスがあって、なおかつ奥手で不器用というのが、なんともかわいらしい。
そう、力士たちの人間味あふれるかわいらしさ……力士萌えに目覚めさせられるのが本作。
かつてない相撲体験、相撲マンガ体験をぜひ。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2015 Spring』が3月14に発売に。映画『暗殺教室』パンフも手掛けています。

単行本情報

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