日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『異形ちゃんといっしょ』
『異形ちゃんといっしょ』 第2巻
八丸真幸 徳間書店 ¥620+税
(2017年5月13日発売)
「NO MORE 映画泥棒」のカメラ男やパトランプ男のような、顔から上が器物になったキャラクターたちを“異形頭”というらしい。
いつの間にそんな名前というかジャンルができていたのか、と流行に疎い評者は驚いたが、『異形ちゃんといっしょ』はタイトルどおりそんな異形頭たちがおりなすホームコメディだ。
各々が持つ才能のかたちが頭部になる世界で、実家も継げず、就職もできずという無職5人組が「ホマレちゃん」という幼女を育てることになるというのがメインストーリー。
映画『赤ちゃんに乾杯!』『スリーメン&ベイビー』ドラマ『フルハウス』……から続く、男だけの子育てもの。無為徒食の日々を送るほかなかった5人暮らしの“異形”たちが“娘”を得たことで、ひとつの家族としてまとまり、あるいは娘をめぐって、ときにケンカをしつつ、そしてまた自分に何ができるのかという若い悩みにも向きあっていく。
ある意味、王道だが、異形頭というアクセントが効果的に機能している。
炊飯器やオーブン、ハサミにカメラに室内灯という顔のない異形頭だからこそ、出せる表情がここにある。
第2巻である本作で完結とはいささかさみしいが、きっちりまとまっているのでホームドラマ好きはぜひ、手に取ってほしい。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas