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6月28日は「サラエボ事件が起こった日」 『皇国の守護者』を読もう!【きょうのマンガ】

2017/06/28


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

6月28日はサラエボ事件が起こった日。本日読むべきマンガは……。


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『皇国の守護者』 第1巻
佐藤大輔(作) 伊藤悠(画) 集英社 ¥590+税


1900年の7月、ひとりの女性が恋を成就させた。
皇室女官だった彼女が恋をしたのはオーストリア=ハンガリー帝国の皇位継承者だった。
まわりは当然猛反対!
だが彼女は「生まれた子どもは皇位継承の資格なし」「夫人になっても皇族待遇はされない」という条件を受け入れて結婚にこぎつける。
しかし14年後……。1914年の今日。「皇室付女官」として愛する夫と海外訪問がかなった彼女は、夫とともに突如命を奪われる。

このあと、サラエボ事件と呼ばれるこの暗殺事件は、オーストリア=ハンガリー帝国がセルビアに宣戦布告する事態に発展した。
あれよという間に各国が入り乱れる戦争へ突入し、アジアまで飛び火していった。これが世界初の世界規模の戦争、第一次世界大戦である。

第一次世界大戦は、これまでの戦争様式を一変させている。
戦車、機関銃、塹壕戦、毒ガス兵器、航空機などの登場だ。
当時の人々は激変する戦いの常識に目を丸くしただろう。
それほど、新しい技術やそれに対応した戦術は効果的に人を殺したのだ……。

フィクションの世界ではあるが、そんな軍事的革新をひとりでやってのけた男の戦争を描いたのが『皇国の守護者』だ。
架空の国家・皇国に宣戦布告もなしに、皇国北部に上陸してきた帝国。戦争慣れした帝国の戦い方に完敗した皇国は、皇国北部からの撤退を余儀なくされる。
中隊兵站幕僚にすぎなかった主人公の新城直衛中尉は、皇国軍全体の存亡をかけた撤退戦の成否を握る殿(しんがり=撤退する部隊の最後尾で敵を防ぐ役目)の指揮官となって、帝国軍と対決する……。

使えるものはなんでも使う。
そのシンプルかつ毅然とした決断力は、ある種の「戦争の天才」だった。彼が考える戦術は、上官から否定されるも、やがて彼しか指揮する者がいなくなると効果を発揮する。
この世界の時代は、まさに第一次世界大戦停戦前の我々の世界と似ている。革新的武器はあるものの、まだ使い方をわかっていないかのように。ただひとり、新城のみがその真価を理解し、使いこなすのだ。

ギリギリの撤退戦で冴えわたる新城と、そのうえをゆく危機の連続に、ハマったファンが多い本作。
マンガ版もまたおもしろさは絶賛されたが、すべてのストーリーがマンガ化されたわけではない。
さらに……原作者の佐藤大輔氏が52歳という若さでこの世を去ったばかり。もう続きを読めないというショックに押しつぶされそうだが、あえて読み返したい作品だ。
その際は、まずマンガ版の絵を見てイメージをつかんでもらいたい!



<文・沼田理(東京03製作)>
マンガにアニメ、ゲームやミリタリー系などサブカルネタを中心に、趣味と実益を兼ねた業務を行う編集ライター。

単行本情報

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