365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
6月29日は廉太郎忌。本日読むべきマンガは……。
『Classi9』 第1巻
吉村旋 スクウェア・エニックス ¥571+税
1903年(明治36年)6月29日。作曲家の滝(瀧)廉太郎が、満23歳の若さでこの世を去った。
「花」「箱根八里」「荒城の月」など、優れた声楽作品を生み出した人である。
本日6月29日は「廉太郎忌」と呼ばれており、墓のある大分県の龍泉寺では「瀧廉太郎忌辰祭」が行われ、彼の楽曲が合唱されるとのこと。
ということで、今日ご紹介するのは滝廉太郎が主人公であるマンガ『Classi9』。
じつはこれ、本当の名前ではない。本名は滝廉、しかも女の子!
音楽留学のためウィーンを訪れた彼女だが、入学予定の音楽院はなんと男子校。
苦肉の策で「滝廉太郎」と名乗り、男子のフリをしてすごすことになる。
廉が転入したのは、問題児たちを集めた特別クラス。
モーツァルトにベートーベン、バッハ、ハイドン、リストにショパン、チャイコフスキー、そしてワーグナー……学友はいずれ劣らぬ天才音楽家たちだ。
そうそうたるメンツに囲まれ、波乱に満ちた廉の学園生活が始まる――。
女子ということを隠しとおしてのドキドキハラハラな学園生活なわけだが、居並ぶクラスメイトがこれまたとんでもない。
音楽の才能はさておき、どいつもこいつもとんがった連中なのである。
史実に近いキャラもいれば、まったく違う設定になっているキャラもいて、音楽家を知っている読者はその脚色ぶりにも注目してほしい。
著者自身が「盛大につっこみつつ楽しんで読んでいただけたら」というコメントをしているので、そこはもうただおもしろがって読み進めるのみ。なんせ、どんどんページがはかどるテンポのいい作品なのだ。
主人公の廉もなかなかにかわいらしく、相手はよりどりみどりの逆ハーレムストーリーをくすっと笑いつつ楽しみたいところ。
今日この作品を読むなら、登場するキャラの楽曲をぜひBGMに。
もちろん、廉太郎の曲を最優先にどうぞ。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」