日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『プリマックス』
『プリマックス』 第10巻
柴田ヨクサル(作) 蒼木雅彦(画) 集英社 ¥514+税
(2017年5月19日発売)
「カワイイはチンコのある、ない程度じゃ決まらない!!!!!!」
“カワイイ”を極めたい!
そんな情熱に取り憑かれた体操部の男子・モン太が100万円を“餌”に同級生とつくった女装アイドルユニット・プリマックスを描いた『プリマックス』もついに最終巻。
いったい何がそうまでしてモン太を、プリマックスを女装に駆り立てるのか。
カワイイからか。カワイイがすべてなのか。理屈なんてカワイイの前には平伏すのみと暴力的な勢いで突っ走ってきた本作は、今回もアイドルがゲロを吐くわ、アイドルの顔面がグーで殴られるわ、アイドルのけして暴かれてはいけない秘密が暴かれるわ……とやりたい放題だけど、カワイイからOK。
けして短くない物語ながら、最初から最後まで”カワイイはここにある”の精神で貫き通すノリはいっさい変わらないのがとにかく驚異。
あらゆる迷いやツッコミをカワイイのひと言で踏み倒し、1話読み切りの短距離走的な勢いでもって全10巻の長距離走を駆け抜けてしまったその豪腕ストーリーテリングには驚嘆するほかない。
とにかく読み始めればその勢いにまかせてあっという間なので未読の方は完結を機にぜひ、手に取っていただきたい。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas