日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『セーラーエース』
『セーラーエース』 第6巻
しげの秀一 講談社 ¥580+税
(2017年6月6日発売)
野球のユニフォームなのにデザインはほとんどセーラー服。
ミニスカの下から惜しげもなくパンチラを披露してくれた関東女学院、女子野球部のエース・桜木繭のマウンドは本巻で見納めとなった。
まゆの目標は「日本一エロちゃらいエース」。
本格派の速球に加え変化球もアリ、モデル級の美貌とスタイルでマウンド映えも随一。
天然で淡々として見えるが、天性の才能だけではなく努力家で人望も厚い。
そんな彼女を中心とした関女野球部は秋季大会を勝ち進むが、3回戦当日にまゆは体調を崩してしまい、高熱を押しての登板となる。
四球連発、いきなり無死満塁のピンチを迎えたまゆ、次なる1球は!?
モンスター級の豪快エースを擁する宿敵・青山インターコンチネンタルハイスクールとの準々決勝にコマを進めることはできるのか。
ひたすらスーパーなまゆにフォーカスするだけでなく、意外やといっては失礼だが試合の戦略や駆け引きも、選手個々の持ち味も丁寧に描かれていただけに、いきなりの終幕は惜しい。
終了の伏線も、「私たちの戦いはこれからだ」的な言葉もなく、試合途中での(しかもまさに今から試合が動くという場面で)突然の「完結」に目を疑った。
あえてまとめに入ることをせずにブツ切りといえるかたちで終わったのはどういう意図なのか。
「“第1部”完」といった表記もないが、いつか何事もなかったように再開される可能性があるのかも?
試合以外でも、野球部員ではない同級生・ポチャコ&ガリコとキャッチボールをするエピソードや、売れっ子モデルのまゆの姉との関係、まゆを追いかける芸能プロのスカウトとのくだりも気になっていたので……。
すでに、著者の次回作は今夏連載開始と発表されている。
予告によれば舞台は202X年代、「車の自動運転が普及した日本を舞台に、英国のレーシングスクールをトップの成績で卒業した天才ドライバーが帰国する」とのことで、『頭文字D』以来の車マンガ復活となる。
これで主人公が桜木まゆだったりしたらウケるんだけど、まあ99.9%ないか(笑)。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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