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『AIの遺電子』 第6巻 山田胡瓜 【日刊マンガガイド】

2017/07/08


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『AIの遺電子』

  
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『AIの遺電子』 第6巻
山田胡瓜 秋田書店 ¥429+税
(2017年6月8日発売)


“ヒューマノイド”と呼ばれる、人間と同様に感情を持った人造人間が社会に溶けこんだ未来――そんな世界を舞台に、人工知能専門の“新医者”である須堂がヒューマノイドたちの抱える様々な問題に向きあうオムニバス物語が本作である。

最新刊も「感情の改ざん」による夫婦関係の改善から、人間では到底不可能であろう「即身仏として実際に死を体験して生還する」ことを目指す僧侶、そして「私たち、入れ替わってる~!?」ネタまで、ウィットに富んだヒューマノイドならではのエピソードが満載。
また“近未来版ブラック・ジャック”とも評される本作らしい、育ての親と生みの親の間で揺れる思春期の少女のハートフルな物語にも心動かされるが、なんといっても見逃せないのは、まさに本作におけるドクター・キリコのような須堂のライバル・瀬戸が登場したことだろう。

ヒューマノイドという存在を通して「そもそも、人間とはなんだろう?」という問いかけを続けてきた側面もある本作に、異なる倫理観(ドクター・キリコもそうであったが、彼には彼なりの信念があり、単純な悪という人物ではないのがミソ)を持った人物が登場したのは、大いに興味を惹かれるところ。
連載中の単行本未収録エピソードではすでに再登場を果たしている瀬戸には、今後も須堂との対決を期待したい。
心温まるストーリーに本作の魅力を感じているファンは多いと思うが、きれいごとだけで終わらない、どこか突き放したあと味もまたこの作品の持ち味。
瀬戸のような人物に心乱されるのも、より作品の楽しみ方に深みが増すと思いますよ……?



<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。

単行本情報

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