『愛が地球を救うのだ!』第1巻
森生まさみ 白泉社 \429+税
(2014年9月5日発売)
別れた彼女を引きずる社会人イケメン、中澤徹(24)は、落ち込んでる暇なんていっさいなし! それは上京してきた遠い親戚の娘の世話で大忙しだったから。
「にぃやん!」なんて呼びながら慕ってくる世良まこと(19)は、「リア充」に目覚めた大学デビューの元オタク娘。ずぼらで天然……だけどみがけば美少女! 惚れやすいまことだが、カッコイイにぃやんには彼女がいると思い込み、安心して入りびたる……。
一方、最初こそ“親がわり”なんて意地を張っていた徹は、宣言どおりの大学デビュー後、イケメンに惚れまくるまことになんとなくイラッ……としてしまう。8番目の恋に玉砕してしまったまことに「フリー宣言」してしまう。
すっかりにぃやんを異性として意識したまことは、距離を置くもののドキドキは募る。
3カ月ぶりに偶然出会ったことで、それが「本物の恋」だと気づいた彼女はクリスマスの日、風邪で寝こんだところを見舞ってくれた徹と結ばれることに……。
とはいえ、親戚の目もある2人。まことが20歳になるまでは深いつきあいを我慢すると心に決めた徹。結ばれたはずなのに距離が遠くなって困惑のまこと。つきあってるけど、じつはそうじゃない? 絶妙のおあずけカップル物語、ここに開幕する!
ついつい世話を焼いちゃう面倒見のよさ、手際よくおしゃれな料理を作れちゃうスマートさ、それゆえ深みにハマってしまう性格の徹と、「社会人とつきあう女の子って大人っぽくなるよね~」を実践する(が、決して天然は抜けない!)まことの関係の変化に目が釘づけ。そのうえ、遠いとはいえ親戚の2人。
ほんのり禁断の恋の匂いもさせつつ、コミカルで明るい2人に心しめつけられる作品だ。
<文・藤咲茂(東京03製作)>
美酒佳肴、マンガ、ガンダム、日本国と陸海空自衛隊をこよなく愛し、なんとなくそれらをメシのタネにふらふらと生きる編集ライター。