日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『家畜人ヤプー Again』
『家畜人ヤプー Again』
伊藤ヒロ・満月照子(著) 沼正三(作) ぎうにう(画) 鉄人社 ¥1,300+税
(2017年6月22日発売)
2000年後の未来、日本人はヤプーと呼ばれる家畜として飼育され、奴隷として、生きた家具、そして食用のために用いられた……三島由紀夫が評価したことでも有名なエログロマゾヒズム文学の金字塔、沼正三『家畜人ヤプー』。
『家畜人ヤプー Again』は、本作のリメイクにあたる作品だ。
著者のひとり、伊藤ヒロは、『女騎士さん、ジャスコ行こうよ』や『(この世界はもう俺が救って富と権力を手に入れたし、女騎士や女魔王と城で楽しく暮らしてるから、俺以外の勇者は)もう異世界に来ないでください。』などのライトノベルで知られる書き手だが、もともとは美少女ゲーム出身のライターであり、『夢幻廻廊』や『ク・リトル・リトル』などでアブノーマルでカルト的な雰囲気を持った作品を数多く手がけてきた。
今回、『家畜人ヤプー』という原作をえたことで、まるで水をえた魚のように旧来の作風が全開となっている。
のっけから性器破壊だのカニバリズムだのエログロ描写満載でイラストも完備。
耐性のない人はぱらぱらめくるだけでも心に傷を負う可能性大なので取扱注意。
一方、原作『家畜人ヤプー』のファンだったり、氏賀Y太や堀骨砕三といったエログロ系作家のファンで、pixivのR-18Gランキングが巡回リスト入りしている方などにとってはまたとないご褒美であろう。
ぜひ、買い支えてあげてほしい。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas