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7月29日は「福神漬の日」 『ゲキカラ文化交流』を読もう! 【きょうのマンガ】

2017/07/29


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

7月29日は福神漬けの日。本日読むべきマンガは……。


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『ゲキカラ文化交流』 第1巻
沼江蛙 芳文社 ¥619+税


今日7月29日は、漬けものづくりの会社「新進」が「福神漬の日」として日本記念日協会に登録したPRデーである。
新進といえば昭和5年(1930年)から福神漬の販売を始めて80年近くたった今でもそれをメイン商品として全国展開している老舗メーカー。
定番のカレーライスから中華料理、和食まで幅広くマッチする福神漬をひとつの食文化として継承・拡大し、現代人の野菜不足をおぎなう手段として福神漬を活かしてもらうための促進活動が、記念日の主旨となっている。

では、なぜこの日付なのか。
そもそも「福神漬」という呼び名は、大根・ナス・レンコンなどなど、様々な野菜を盛りこんだ漬けものの様子を、大勢の神さまが寄り集まった「七福神」になぞらえてつけられたもの。
そこで、七福神の「七」と「福」=「ふ(2)く(9)」の語呂にちなんで7月29日が選ばれたわけだ。
もうひとつ、時期的な話として、カレーがもっとも多く食べられる夏休みシーズンに子どもたちが福神漬を合わせて食べてくれれば、という意図も新進の公式サイトで説明されている。

20世紀初頭にとある客船の食堂でカレーライスに添えられて以来、つきものとなっている福神漬。
七福神はヒンドゥー教でいう「大黒天」そのほかインド系の神さまをベースに日本で土着化したものなので、その名を冠する漬けものがカレーと縁を結んだのはおもしろい。

さて、そんな漬けものを記念する日に読むならば、やはりインドとカレーが題材となる作品がいいだろう。

そこで本日紹介するのが、その名もスパイシーな『ゲキカラ文化交流』。
「まんがタイムスペシャル」で2012年から2015年まで連載されたコメディ4コマだ。

カレー大好き女子高生みゆきちゃんが、ハヤシライス派のクラスメイト林くんに「カレーが好物ってなんとなく子供っぽいよね」と軽くディスられる図から幕はあがる。

みゆきがショックを受けて駆けだした先でふと通りがかったのは、初めて見かけるカレー屋さん。
なかに入ってみればそこはインド人少女アイシャが看板娘をつとめる本場仕込みの専門店で、出てくるカレーは絶品だった。
なのに今は近所のラーメン屋に客をとられて閑古鳥が鳴いているという。
そこにやってきたのが、唯一の常連である金髪イギリス人ガールのキャサリン。
3人は店内で会話を重ねるうち親しくなり、カレー屋なのに「ごはんにはのりの佃煮」などたえまなくボケ続けるアイシャ・そこに鋭いツッコミを入れるキャサリン・その横からボケを重ねるみゆきという黄金パターンができあがる。
それぞれまったく異なる文化に立ちながら、歴史的にカレーが共通項となる日・印・英の3カ国を代表する(?)女の子たちがひたすらカレーについて語り明かすカレー空間は今日も延々と続いていく……という内容だ。

中心はあくまでカレー店内を舞台としたガールズカレートークだが、合間合間に学校でクラスメイトと他愛なくダベる風景を挟むことでメリハリがついており、あたかもカレーライスを食べる時に福神漬が添えられて舌をリフレッシュさせるような構成となっている。

福神漬の日に読むには、うってつけの一作だ。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメやマンガ、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム35年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論 増補改訂版』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

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