日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『猫工船』
『猫工船』 第1巻
カレー沢薫 小学館 ¥630+税
(2017年6月30日発売)
群馬県にある赤道直下の孤島(この時点で意味不明だが気にするな)の工場・ネ工場。
そこでは「猫の手も借りたい」少子高齢化社会のもと、高齢者の年金を確保するために猫たちが不可解な労働に勤しんでいた……。
『負ける技術』などでエッセイストとしても活躍中のカレー沢薫の新作は、かの名作『蟹工船』を下敷きにし、現代社会の闇をうがつ社会派マンガ……などということはいっさいなく、猫がよくわかんない労働をしたり、せっかく稼いネコジンバブエドルをFXで溶かして借金をつくったり、毛をむしられたり、毛のないネコと友だちになったりと、おなじみのシュールでダウナーなノリが延々と続く。
まあ、とにかく読んでいて脳が疲れないし、そのわりにはときどき、くすりとさせてくれるので、忙しい現代社会にはぴったりなマンガである。たぶん。
巻末には売れない漫画家・カレー沢薫の真実にせまるエッセイマンガも収録。
あいかわらずあふれんばかりの編集者への殺意が最高である。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas