日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『腹ペコのマリー』
『腹ペコのマリー』 第1巻
田村隆平 集英社 ¥400+税
(2017年7月4日発売)
道教の寺の息子・タイガ。隣の教会に住むアンナ。
タイガはアンナに捕らえられ、マリー・テレーズ・シャルロット召喚の儀式の生贄にされる。
ところが、呼び出されたマリーとタイガは一体化。
身体はマリーで、心はタイガ、という厄介な状態になってしまった。
しかもそのうえ、おなかが減るとタイガの姿に戻り、精神はマリーに。
男女入れ替わりの凸凹生活が始まる。
いわゆる「憑依」「TS」ものの、変化球な作品。
これが『らんま1/2』のように精神が変わらないのであればまだわかりやすいのだが、身体が入れ替わると精神も入れ替わる、という困った状態。
自分の姿で思ったとおりにできないのが、歯がゆくてしかたない。
くわえてマリー・テレーズが思考や言動が古すぎて、常識が全然通じないからこれまた困る。
2人の能力が真逆なのもおもしろい。
タイガは挌闘の達人なので、マリーに入った時、普通の人間相手なら次々とぶちのめすことができる。ドレスを翻して戦う様子は、見ていてすこぶる気持ちがいい。
一方マリーは冥界につながっており、地獄の蓋を開けることができる。タイガの姿で、ネクロマンサーとして大暴れだ。
2人は状況によるスイッチングを任意でできるようになったら、ひょっとしたら無敵なのでは?
第1巻は状況説明に終始しており、まだまだ入れ替わりに慣れていないドタバタギャグ状態。
第2巻以降で、この2人の能力・精神・見た目がどう物語に影響していくのか楽しみだ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」