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『Dr.STONE』 第1巻 Boichi(画) 稲垣理一郎(作)【日刊マンガガイド】

2017/08/13


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『Dr.STONE』



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『Dr.STONE』 第1巻
Boichi(画) 稲垣理一郎(作) 集英社 ¥400+税
(2017年7月4日発売)

『アイシールド21』原作者・稲垣理一郎のテクニカルな作劇と、『サンケンロック』のBoichiの濃厚かつ勢いある作画。
両者がうまくかけあわさった熱量の高い内容で最近の「週刊少年ジャンプ」本誌をにぎわせている注目作『Dr.STONE』の初単行本が7月に発売された。

大筋は、いわゆるポストアポカリプス系のSFアクションだ。

現代日本の、とある高校。
熱血少年の主人公・大樹(たいじゅ)はある日、長年の片思い相手である少女・杠(ゆずりは)への告白を試みる。

「俺は5年間ずっと——」といいかけた、その時。大樹は謎の光が町の上空に閃くのを目撃した。

その瞬間、地球規模で爆発的な“何か”が起こり、世界中の人間はまたたくまに石化してしまう。
動けない、声が出ない、何も見えない!
石化現象がおこった時に世のなかで動いていた乗り物や機械類は操縦者を失って事故を起こし、石となった命は次々と砕け散る。

感覚喪失にともない意識まで薄れ始め、多くの人間はあきらめ完全な石像となっていく。
だが、そんななか、ド根性で己にカツを入れて起き続ける少年がいた。大樹である。

何日、何年、何十年……まわりの町並みが荒廃して自然に呑みこまれても、大洪水で押し流されても、大樹はあきらめない。
愛する少女の生存を信じて、精神を保ち続けた少年は何かの拍子で、ついに石の殻を突き破って復活する。

見渡せば一面、豊かすぎる自然ばかり。人工物はかけらも見えない。
地球上から人類が消えて、もう数千年も経っていたのだ……。

ここから、大樹の幼なじみでもうひとりの主人公、天才科学少年・千空(せんくう)との再会をきっかけに、科学知識を活かして原始時代の状態から超スピードで近代化への飛躍と人類復活を目指すサバイバルが幕開ける。

情熱的な大樹、理知的な千空という対称的な性格造形は、単にコントラストが引き立つというだけでない。
千空の知恵を信じて思いきり肉体作業にはげむ大樹と、大樹の腕っぷしや人柄へ2人の運命を託して頭脳をフル回転させる千空という、両者の深い関係性こそが重要な焦点となるのである。
人情と理性、情熱と冷静、腕力とアタマ。お互いどちらも軽蔑せず連携する切り口はとても爽やかで気持ちいい。

それはちょうど、原作・稲垣氏と作画・Boichi氏のタッグそのものにも重ねあわされるところだろう。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム35年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論 増補改訂版』(総合科学出版)。プリキュアはSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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