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9月7日は「クリーナーの日」 『眼鏡橋華子の見立て』を読もう! 【きょうのマンガ】

2017/09/07


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

9月7日はクリーナーの日。本日読むべきマンガは……。


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『眼鏡橋華子の見立て』第1巻
松本救助 講談社 ¥570+税


9月7日は、9(ク)と7(ナ)の語感に合わせた「クリーナーの日」。
ここでいうクリーナーはレンズ洗浄用のもの、いわゆるメガネクリーナーを指している。

日常ずっと肌身に接触させて使うアイテムであるメガネを惰性で扱わず、意識的に手入れするきっかけとしてちょうどいい記念日だろう。
ちなみにこの日を制定したのはメガネ関連商品を製造する株式会社パール。昭和34年に国内で初めてメガネのくもり止めを開発販売した会社である。

さて、メガネを重視して描くマンガは古今様々あるが、ごく最近非常に強烈な作品が登場したので本日はそれを紹介したい。

その名も『眼鏡橋華子の見立て』。
昨年から「モーニング」誌で連載がはじまり、単行本は第2巻の刊行が10月に控えている作品だ。

著者の松本救助は直前にメガネ熱愛JKを主役とした推理物『メガネ画報』を描いているが、今回はメガネ+●●というジャンル合成ではなく、完全にメガネ一本槍のコンセプト作品となっている。

とある青年編集者が銀座の街角で出会ったのは、かけるメガネも本人も美しい和服女性、眼鏡橋華子。
彼女はメガネ店「眼鏡画廊」の店主で、店を訪れた人や街角で見かけた人が本当に必要としているメガネをするどく察しておすすめする類まれなスキルを備えていた。

日本のメガネ人口はじつに6,000万人、2人に1人が眼鏡をかけている。
となれば1人ひとりの体質、性格、ものの見え方それぞれ多種多様で、「合う」メガネも様々だ。
それを毎回最高にフィットさせようとする華子の情熱にあてられ、青年はついつい「眼鏡画廊」に通いつめ、その仕事ぶりを間近に見届けることになる。

メガネのツルに入っている芯が気になってしまう人には、老舗・金子眼鏡の山本泰八郎謹製、芯なしセルフレームメガネ「PREMIER V -デミ-」。

合わないメガネばかりかけ続けて頭痛に悩まされる人には、特殊なヒンジ(蝶番)構造で耳やこめかみにしめつけ感がない、心地よさを追求した「999.9 フォーナインズ」のリムレスフレーム「TW-60T」。

落ち着きのない行動が目立つ幼児の問題が心理的なものではなく視力の問題だと気づけば、青山眼鏡のこども用メガネ「眼鏡委員長!! MI-7003」……。

などなど、出てくるのはいずれも実在メーカーの実在商品で、メガネをプレゼンする場面の説得力が増している。
その際好感がもてるのは、華子がものすごいメガネフェチでありつつも、同時に人それぞれが背負う人生のドラマを尊重する姿勢も示している点だ。

「メガネの個性がかける人を殺してはいけないのです!!」
「人とメガネは絵画と額縁の関係にあたります!」

と、力説する華子は、メガネをかけた人間を一種の芸術ととらえ、人が極上のメガネに出会う瞬間に立ち会うことに欲情するほどの興奮を覚えるという。
“メガネか、人間か”というのはメガネフェチ永遠の課題だが、彼女にとっては二者択一ではなく、“あわせてひとつ”なのだ。
色即是空、空即是色、ヒト即メガネ、メガネ即ヒト!

メガネクリーナー記念日の今日、ぜひみなさんもこの含蓄深いメガネ推しマンガを読んでメガネに思いをはせていただきたい。メガネメガネ。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメやマンガ、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム35年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論 増補改訂版』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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