『ピアノの森』第25巻
一色まこと 講談社 \562+税
(2014年10月23日発売)
幼少の頃より森に捨てられていたピアノを弾いて育った主人公・カイこと一ノ瀬海の物語。
ピアニストを目指す同級生の雨宮修平と交通事故によりピアニストを断念せざるをえなかった元・天才ピアニストの音楽教師・阿字野壮介との出会いで、カイは本格的にピアノの道に入っていく。
1998年にヤングマガジンアッパーズで連載が開始されたが、休載や雑誌廃刊による連載掲載誌の移動など、波瀾に満ちた作品。連載開始から16年経過した現在のコミックス最新刊が25巻だという事実をみれば、それがありありとわかる。
しかし、そのゆっくりとした時間の流れが、カイの成長とリンクし、友だちや自分の子どもの成長を見るような感覚で入り込ませる。そういう意味では、コミックスではなく、雑誌連載で時を一緒に過ごせたら、なお感慨深さが味わえたことだろう。
もちろん、コミックスいっき読みでも『ピアノの森』の魅力は充分に堪能できるのはいうまでもない。
次巻で本作も最終巻。
本巻では、ショパン国際ピアノコンクール最後の演奏者、ポーランドの星であるレフ・シマノフスキがピアノを弾く。そして、驚愕の審査結果が発表され……。
<文・岡安学>
デジタルモノなどのガジェット系を中心に雑誌やWebで活動するフリーライター。元ゲーム誌編集者で、ゲームやアニメ、マンガなどのメディアも守備範囲。ソフトとハードのどちらもこなす。現在、生活総合情報サイト「オールアバウト」にてデジカメのガイドも務める。