『自撮りガール！』第1巻
久遠まこと 小学館 \552+税
(2014年10月30日発売)

普段は優等生な大学生の音無凛。成長が遅く、見た目はほとんど中学生。顔を隠して裸体を自撮りし、SNSにアップするのが趣味だ。
アップすると、男たちが群がるようにフォローしていく……。

女性の「自撮り」ネタをエンタテイメントとして成立させたのが、この作品。
大量に入る全裸シーンは、サクッとかわいらしくまとめられており、嫌味がない。一方で顔を隠してアップされた自撮り写真は、卑猥。このギャップがいい。
彼女はなぜ「見られたい」のか。ヒロインの異常な行動と心理に焦点を当てていく。

凛は常に、身体的なコンプレックスに責めさいなまれている。
ネットでは、未成熟の身体を好む人は多い。かわいいねー、ペロペロしたい、もっとお願いします、すごく綺麗だよ……男たちは彼女の身体を褒め称える。
「誇れないことだとわかっているけど、だれかに認めてもらいたい」 「劣等感と自己顕示欲……その両方かな」

ぼくも序盤は、未成熟な凛の裸が大量に出ているので、大喜びして読んでいた。
ところが裸がずっと続くと、慣れてくるのだ。ヌードというより裸族。撮影シーンは滑稽ですらある。
ネットの住人たちも凛も同様。さらなる刺激を求めて、動画などを要求しはじめる。このままエスカレートして大丈夫なのか、凛？

1巻ではギリギリの一線をまだ越えていない（と思う）。しかしやめなければ、どこかで破滅は訪れるだろう。
彼女の自尊心が救われてほしいような、快楽のまま破滅に向かってもっと裸体を晒してほしいような……悩ましい。

＜文・たまごまご＞
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」