『のろい屋シークレット』下巻
ひらりん 徳間書店 \620+税
ひらりんによる『のろい屋しまい』と『のろい屋姉妹 ヨヨとネネ』につづく、『のろい屋』シリーズ最新作。
<のろい屋>シリーズは、無限の魔力を持ち、やがて世界を征服するといわれている大魔法使い・ヨヨと、その妹・ネネを主人公に、数世代にわたって描かれる大河SFファンタジー。
今回は、884年前に起きた事件により投獄されていた「秘の国」が脱獄するところから物語が始まる。国が巨人のように手足を持ち歩きまわり、ほかの国を滅ぼし、投獄されまた脱獄もする、という壮大かつダイナミックな世界観が圧倒的。
下巻では、とある事件の真相が明らかになり、連鎖的に様々な謎が解き明かされる。
ちょっとしたエピソードのように書かれている挿話の一つひとつが、突飛に見える登場人物たちにグッと厚みを与え、壮大過ぎて大味にすら思える作品を、いきいきしたものに感じさせてくれる。
そのほか、作中最強の魔法使いでありヨヨとネネの祖母でもあるヨネの正体が明らかにされるなど、シリーズを読み続けてきた読者にとっても重要な描写がある。
逆に、シリーズを読んでこなかった読者には、かなりハードルの高い作品になっているので、本作を手に取る際は、既刊のシリーズも合わせて読むことをオススメする。
<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
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