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1月1日はドラえもんが22世紀の未来から野比家にやってきた日 『ドラえもん』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/01/01


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『ドラえもん』第1巻
藤子・F・不二雄 小学館 \429+税


あけましておめでとうございます。本年も『このマンガがすごい!WEB』をよろしくお願いします。

元日といえば、藤子・F・不二雄『ドラえもん』で野比家にドラえもんがやってきた日である。
第1話「未来の国からはるばると」では、お正月、のび太が部屋で餅を食べながらのんびりしていると、机の引き出しが突然開いて中からドラえもんが登場。22世紀の未来から、セワシくん(のび太の孫の孫)がのび太の世話を焼くために、ドラえもんを派遣してよこしたのだ。
ちなみに、記念すべき最初の未来の道具は「タケコプター」(初期は「ヘリトンボ」とも)だった。

さて、昨年2014年は、年末にコミックス未掲載作品を収録した『ドラえもん プラス』で、8年ぶりの新刊となる第6巻がリリースされた。
さらに3DCG映画『STAND BY ME ドラえもん』(八木竜一/山崎貴監督)が公開。興行収入80億円突破は、昨年の邦画のナンバーワンであり、歴代のアニメ『ドラえもん』の映画と比べても、ブッチギリだ。

この『STAND BY ME ドラえもん』は、前述の「未来の国からはるばると」と、ドラえもんが未来に帰る2本のエピソード(「さようなら、ドラえもん」「帰ってきたドラえもん」)を軸に、途中にのび太としずちゃんの結婚につながるエピソード(「雪山のロマンス」など)を挿入し、映画としての筋が成立するようにところどころ改変したもの。
なお、『STAND BY ME ドラえもん』に使用されたエピソードと、その初出、てんとう虫コミックスでの巻数などは、以下のとおり。

  • 「未来の国からはるばると」(「小学四年生」1970年1月号、第1巻[1974年8月1日])
  • 「たまごの中のしずちゃん」(「小学四年生」1985年1月号、第37巻[1986年8月25日発行])
  • 「しずちゃんさようなら」(「小学六年生」1980年11月号、第32巻[1985年1月25日発行])
  • 「雪山のロマンス」(「小学六年生」1978年10月号、第20巻[1981年1月25日発行])
  • 「のび太の結婚前夜」(「小学六年生」1981年8月号、第25巻[1982年8月25日発行])
  • 「さようなら、ドラえもん」(「小学三年生」1974年3月号、第6巻[1975年1月1日発行])
  • 「帰ってきたドラえもん」(「小学四年生」1974年4月号、第7巻[1975年5月25日発行])

(※上記は映画のストーリー順。てんとう虫コミックスの発行日は奥付に準拠)

個人的には「さようならドラえもん」と「帰ってきたドラえもん」のあいだには、学年誌掲載時の読者にも、てんとう虫コミックスで読んだ読者にも、時間的もしくは物理的な「間」が生じるので、この2話のブリッジ部分にはもう少し時間経過を感じさせてくれるような演出があれば、マンガでの「ドラえもん体験」に近くなったのではないかと思ったが、これは完全にマンガ読者的視点なのであしからず。

ちなみに、のび太がジャイ子ではなくしずちゃんと結婚した場合のタイムパラドックスに関しては、 第1話で当事者たるセワシの口から、乗り物に例えて語られている。
また、2009年に発行された藤子・F・不二雄大全集『ドラえもん』第1巻の巻末には、のび太とジャイ子が結婚したパターンと、のび太としずちゃんの結婚したパターンでの、両方の家系図が掲載されている。これがタイムパラドックスに対する、いわば「公式見解」といえるだろう。

国民の誰もが知っている不朽の名作。ひさしぶりに『ドラえもん』第1巻で「原作の『ドラえもん』」と再会してみようではないか。
そのときに感じる懐かしさこそ、藤本先生がぼくたちに贈ってくれたタイムマシンなのかもしれない。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

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