『このゆびとまれ』第3巻
大澄剛 日本文芸社 \571+税
(2014年12月19日発売)
子役というのは、なんとも興味をそそられる存在だ。
大人に比べて活躍の場が限られることを考えると、それは芸能人のなかでもトップエリート。それだけに、幼いながらにきっちり“仕事”をこなす子役は賞賛の的である反面、どこか異形のものにも感じられる。
本作のヒロイン・藤田恵那は、ドラマにCMにバラエティにひっぱりだこの人気子役。
小学1年生ながら、将来は大女優になるという意識バリバリ。要求される子どもらしさを「わざとらしい」と見透かされないレベルで演出し、人が見てないところではマネージャーの田代をアゴで使う、恐るべき少女である。
本巻では、恵那の前に最強のライバル・桃田萌々が出現! 元女優の母親がビシビシしごいているだけあって、萌々もかなりの実力派。
子役のトップを走り続けていた恵那だが、尊敬する巨匠監督の新作に萌々が指名されてしまい、かつてない悔しさを経験することに……。
いくら賢くても前向きでも、子どもは子ども。それに気づいた田代と、より絆は深まって……二人三脚で突き進む芸能界サバイバル、この先がより楽しみになってきた!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」