『男塾外伝 伊達臣人』第1巻
宮下あきら(案)尾松知和(画) 日本文芸社 \590+税
(2014年12月27日発売)
ご存知『魁!!男塾』のスピンオフ作品。
バトルシーンやストーリー展開、そして絵柄などは、原作の宮下あきらのものに極めて近く、作画の尾松知和は、新人らしからぬ実力をみせている。
主人公は屈指の槍使い・伊達臣人。『男塾』が初期の1話完結のギャグ作品から対決モノとなった最初のボスキャラクターで、その後も主人公の剣桃太郎と双璧をなす強さと人気を誇ったキャラクターだ。
『魁!!男塾』では、驚邏大四凶殺(4人対戦)、大威震八連制覇(8人対戦)、天桃五輪大武會(16人対戦)と、対戦相手が倍々ゲームで増えていき、直前で戦った相手がすべて仲間になる展開となっていたため、多くのキャラクターが敵で登場したほどのインパクトがなくなり、埋もれてしまう。
そんななかで、伊達は初期に登場したのにもかかわらず、最後まで活躍したほどの名キャラクターだった。
当然、当作品以外の『魁!!男塾』の続編やスピンオフ作品にも出演しており、『天より高く』では暴力団の組長として登場し、『極!!男塾』では年老いながらも圧倒的な強さを示している。
本作は、伊達臣人が男塾を退塾するシーンから始まり、三面拳の月光、飛燕、雷電との出会いが描かれている。
スピンオフ作品のお楽しみといえば、本編のネタがふんだんに盛り込まれている点だろう。こじつけでよくわからないながらも、妙に納得させられてしまう『男塾』シリーズおなじみ民明書房刊の解説は、もちろん健在。
バトルを見守るのは、「死亡確認」でおなじみの王大人ならぬ、王小人。王小人が将来、王大人になるのか、それとも親族なのか。よくわからないが、とりあえずバトルの行く末はこの男に任せたくなる。
『魁!!男塾』に比べると、若干シリアスな展開。民明書房刊のくだり以外にギャグ要素が少ないからだろう。
やはりにぎやかしの田沢、松尾、秀麻呂や、やるときはやるのだが基本はギャグ担当の富樫と虎丸のような存在がほしいところだ。
<文・岡安学>
デジタルモノなどのガジェット系を中心に雑誌やWebで活動するフリーライター。元ゲーム誌編集者で、ゲームやアニメ、マンガなどのメディアも守備範囲。ソフトとハードのどちらもこなす。現在、生活総合情報サイト「オールアバウト」にてデジカメのガイドも務める。