『萌えの死角』第4巻
今市子 日本文芸社 \743+税
（2014年12月27日発売）

BL、ホラー、ファンタジーなど、さまざまなジャンルを手がける今市子。
彼女の「萌え」を語るエッセイマンガも、本人は毎巻「これでいいのか」「もう終わったほうが……」なんておよび腰のまま、気づけば順調に4巻目へ突入！

今回、わかりやすい萌え語りは少なめ。
けれど、「萌え話ではなくボケ話で盛り上がってしまう」という、腐女子ならぬ「腐熟（ふじゅく）女子」たちの会話は、だれも『黒子のバスケ』を読まないまま、「主人公は明るく元気でバスケが大好きだけど、ちょっぴり身長が低くてレギュラーになれない」「そこで黒子がピンチで登場してくれる」なんて想像で言いあったり、腐女子に人気らしい水泳アニメ『Free!』を仲間内で追いかけている者がいたことをほっと喜んだり、なんだか味わい深い。

最近の流行を知らなくても、物忘れが激しくても、そして日常はつづく――。
コミケで同人誌の18禁の修正が変だと不思議に思う。いとこの子がオタクに成長していたことを知る。BL原稿をなくして大騒ぎ。
萌えと親しい、腐（熟）女子の日常が、独特の視点でつづられており、日常は萌え、萌えは日常……。禅問答のような境地に……!?

＜文・かとうちあき＞
人生をより低迷させる旅コミ誌『野宿野郎』の編集長（仮）。野宿が好きです。だらだらしながらマンガを読むのも好きです。