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『ラブホの上野さん』第1巻 博士(著)上野(案) 【日刊マンガガイド】

2015/02/08


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『ラブホの上野さん』第1巻
博士(著)上野(案)KADOKAWA \514+税
(2015年1月23日発売)


『ラブホの上野さん』は、タイトルが示すとおり、ラブホテルを舞台にした作品である。
……と説明すると、よくある「職業もの(あるある系)」のように思えてしまうが、さにあらず。ラブホテル「五反田キングダム」のスタッフである主人公・上野さんが、モテない男女に対して、意中の相手をラブホテルに連れこむための口説き文句をレクチャーする「恋愛指南」なのだ。

女性をラブホテルにエスコートするという、つきあいたてのカップルにはハードルの高いミッションをクリアするために、段階的にどのようなプロセスを踏んでいけばいいか、さながらメンタリストのように心理学的なテクニックを応用しつつ解説してくれる。
まずは「手をつなぐ」、そして「サインを発信する」と、「ホテル行こう」の言葉を発する前に心理的な距離を縮めておく必要性を説く。
上野さんの口車に乗せられて、読後には「おいちょっとこれオレでもイケんじゃねえの!?」と勘違いさせてくれること必至だ。

ちなみに本作の原案者である上野は、ツイッター上で「上野 ラブホスタッフ」のアカウント名で、ラブホ勤務の日常エピソードを投稿している人物。
ラブホの敷居で繰り広げられる男女の心理的攻防戦に対する洞察は深い。そして上野さんは、慇懃無礼でナイスなキャラクターだ。

でもまあ上野さんは、カップルの恋愛成就が目的ではなく、あくまで「五反田キングダム」の客を増やす営業活動の一環として、若い男女にレクチャーをしているわけで、その当事者が必ずしもハッピーエンドにならないあたりもポイント。

それにしてもラブホテルの名前って、なんで妙にインターナショナルだったり、壮大だったりするんでしょうね?



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

単行本情報

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