『超可動ガール1/6』第3巻
OYSTER 双葉社 \600+税
(2015年2月10日発売)
キャラクターのフィギュアを「俺のヨメ」とネタで呼ぶことがある。このマンガは本当に1/6サイズのフィギュアが嫁になるお話。
アニメやゲーム大好きなオタクの房伊田春人(ぼういだはると)。
初めて買ったフィギュアは、恋心を抱いた特別に大好きなアニメのヒロイン・ノーナ。箱を開けてみると、彼女は動いてしゃべるではないか。
彼女は自分がアニメのキャラクターだと気づいておらず、房伊田の指摘で驚く。
「私って「お話」?」
2体目に買った女騎士・ベルノアのフィギュアも、これまた自分がRPGのキャラクターだと知らずに動き出す。3巻では新たに格闘ゲームのキャラクター・天乃原すばるが登場。
基本は明るく楽しい、1/6少女たちとのハーレムマンガ。ただ「なぜ彼女たちは動いているのか?」という謎が常につきまとう。
房伊田のオタク仲間、冠も動くフィギュアの所持者。彼は「次世代のオタクに夢を見せる」ために動くフィギュアの謎をとこうとする。
一方で房伊田は、愛したキャラクターである彼女たちを守ろうとする。
オタクが「好きなもの・愛したもの」にどう向き合うか。
『男爵校長』からも伺える「答えのない戸惑いを軽快に描く」という作者の持ち味が発揮された作品。
特に房伊田が、好きなキャラクターに真摯に接し、命を投げだすことすらできる「真剣なオタク」として、シリアスにもコミカルにも描かれているところは見てほしい。
超可動ガールたちの個人情報は説明書によってだだ漏れ、戦闘の際は当たり判定とやられ判定で一方的に打ち勝てる、ステータス画面を開くと動けなくなるなど、オタクのメタネタ満載の作品。
ああ、ぼくも1/6少女と結婚したい。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」