『バービー ハローマイフレンド』
原明日美 小学館 \667+税
米国の玩具メーカー・マテル社を代表する女児向けフィギュア玩具の一大ブランド「バービー」。
バービーちゃんの本名は「バーバラ・ミリセント・ロバーツ」。年齢は17歳で、職業はファッションモデル。4人姉妹、彼氏あり……1959年に誕生した彼女のパーソナルデータは詳細にわたるが、その誕生日が本日3月9日。この日は、実際にバービー人形が発売された日でもある。
初期のバービーの生産国は、意外なことに日本だった。
当時の日本はアメリカ本国より人件費が安く、繊維産業が発達していたことが大きな理由だが、これは現在の日本の玩具産業における生産拠点が、東南アジア諸国である背景と似かよっていて興味深い。
同タイプのドールフィギュアの相場が2ドルほどだった時代に、日本製で3ドルの値づけはいささか強気に思われたが、メリハリのきいたボディラインに精巧な衣裳をまとったバービーは、またたく間に絶大な支持をうけ、今のコレクターズアイテムの座にいたる。
アメリカの高校にかようバービーが、クラスメイトたちやボーイフレンドのケン、3人の妹たちとともにおくる日々を描く作品が、『バービー ハローマイフレンド』。「なかよし」で活躍する作者が、ブロンドヘア&青い瞳というバービーの基本スペックに、日本ならではのオリジナル要素をもりこんだマンガを4編収録。
いずれもキラキラでハッピーにみちた展開で、自分の思いのままに=ありのままに生きるアメリカンガール・バービーの“らしさ”をていねいに描いている。
ほかにもバービー人形コレクションの写真がふんだんに使用されており、ドールファンにも楽しめる1冊。現在も女児向けマンガ雑誌「ぷっちぐみ」で連載中だ。
『たまごっち』、『ラブandベリー』、『アイカツ!』、『妖怪ウォッチ』と、様々な人気コンテンツと並んでの展開から考えてみても、大健闘中の作品なのではないだろうか。
<文・富士見大>
編集プロダクション・コンテンツボックスの座付きライター。『衝撃ゴウライガン!!兆全集』(廣済堂出版)、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレット、平成25年度「日本特撮に関する調査報告」ほかに参加する。