『ハカイジュウ』第14巻
本田真吾 秋田書店 \419+税
(2015年3月6日発売)
「そう来るか!」「そこまでやるか!」「いや、もう絶対やりすぎ!」と、エキストリームすぎる展開の果てに成層圏を突き破る超巨大な“アレ”の圧倒的な絶望感で「第一部完」となった13巻ラストから、まさかの第二部スタート。
マンガ史上にも燦然と輝くスケールの「巨人にもほどがある!」な事態が巻き起こったんだから、そりゃあもう世界はよっぽどヒドいことに……と、ドキドキしつつ読み始めると、なぜか幕開けは恋愛マンガでも始まるのかというぐらいに、普通に学園を舞台にした高校生たちの日常シーン。
しかし、よく見てみれば、主人公と思われる女子高生は、なぜか第一部のヒロインに似ていて……。しかもなにやら皆さん給食のハンバーグに執拗にハマってるようで、「んまー!」とか叫んでいて……。
題材的にはディストピアSFの名作、藤澤勇希『BM ネクタール』あたりも引き合いに出していろいろ語りたいところだが、これ以上はどうやってもネタバレになってしまうので(この14巻まるごとかけて種明かしとドンデン返しが次々と発生していくところがおもしろいので)、内容についてはここまで。
ただし、『ハカイジュウ』における最大の魅力でもあった「読者とのプロレス」とでも言うべき妙味は、新機軸のサスペンス・ホラー要素を加えたことで、健在どころかさらにパワーアップした印象。
ラストでいよいよ「第二部」の真の舞台が明らかになるこの巻でも、ネタの仕込みはたっぷり行われている様子なので、はたしてこれからどんなエゲツないことが起こるのか……。
もちろん既刊を読んでいたほうが楽しめると思うけど、この巻から入っても大丈夫ですよ!
<文・大西祥平>
マンガ評論家、ライター、マンガ原作者。著書に『小池一夫伝説』(洋泉社)、シリーズ監修に『ジョージ秋山捨てがたき選集』(青林工藝舎)など。「映画秘宝」(洋泉社)誌ほかで連載中。