ゴルゴ13 97
さいとう・たかを リイド社 ¥545
1990年6月12日は、ソビエト連邦内のロシア共和国で国家主権宣言が採択された日である。実質的な独立宣言であり、6月12日は現ロシアで祝日となっている。
主権宣言からおよそ1年後、ソ連では連邦維持を願う守旧派がクーデターを起こす。この「ソ連8月クーデター」はボリス・エリツィンによって鎮圧され、連邦を構成していた共和国(ウクライナなど)は続々と独立。かくしてソ連は崩壊へと向かう。
この時代を描いたのが、さいとう・たかを『ゴルゴ13』の「覚醒 クーデターの謎」(リイド社 単行本97巻収録)だ。ウクライナでクーデターを企む守旧派に対し、エリツィンは守旧派中心人物の"排除"をゴルゴに依頼する。日本人にはなじみのないウクライナとロシアの歴史的対立も描かれており、昨今のウクライナ情勢を理解する一助にもなるだろう。
「世界の理解はゴルゴから」である。
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。