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『たそがれたかこ』第4巻 入江喜和 【日刊マンガガイド】

2015/04/04


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『たそがれたかこ』第4巻
入江喜和 講談社 \580+税
(2015年3月13日発売)


80歳の母親とアパートで2人暮らしをする片岡たかこ・45歳。
もともと人づきあいが苦手で高校時代は不登校も経験。それでも好きだと言ってくれた男性と結婚をし、ひとり娘を授かったものの10年前に離婚。
親権は元旦那に譲り、現在は恋人もおらず、とくに趣味もなく、社員食堂のパート勤めを続けながら、若干ボケかかっている母親の面倒を見て1日を終える。
なにか大きな問題があるわけではない。それでも涙がこぼれる夜がある。

うーん、こうやってイントロを書いているだけで気が滅入るが、そのぶん初老のジゴロ・美馬修平(居酒屋「美馬」経営者)や、たまたま聴こえてきたラジオ番組に激しく共鳴し、大ファンになった谷在家光一(ロックバンド“ナスティインコ”のボーカリスト)との出会いを通して、どんどん色づいていくたかこの日常に、ニヤニヤが止まらない。

前巻の終盤で、ねちねちと娘の人生を憐れむ母親に、積年の言いたいことをあらかた叫んだたかこ。
人の輪に入っていけない10代の延長戦を続けていた彼女にとって、それはひとつの成長であり、こじらせていた思春期にひと区切りがついた瞬間でもあった。

この最新4巻では、たかこがいよいよ“本物の光一くん”に会いにいくことを決意する(注:ライブ参戦のこと)。
父親との折り合いが悪く、自分を頼って家を出てきた愛娘・一花の件を抱えてはいるが、今はウキウキに身を任せていたい。

自分のことばかり考えていたって、いいじゃないか。どんどん若返って、やりたいことをやりましょうよ、たかこさん!



<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
「ドキュメント毎日くん」

単行本情報

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