『毎日カラスヤサトシ』第1巻
カラスヤサトシ 講談社 \605+税
(2015年3月23日発売)
アフタヌーン公式サイト「モアイ」で毎日連載中の『毎日カラスヤサトシ』が単行本になった。
著者の私生活をネタにした4コマというスタイル自体は、アフタヌーンKC『カラスヤサトシ』(現在7巻までが発売中)と一緒ながら、こちらは驚異の月~金毎日連載!
とはいえ、新聞連載のような時事ネタもなければ、季節行事ネタもなし。
1年の締めくくりである大晦日が鼻水吸い機~阿片窟ネタという、みごとなマイペースぶりで著者の2DK小宇宙な日常のくだらないエピソードが起承転結&オチなしでつづられてゆく。
いまや育児パパとしてもおなじみの著者だけに、おのずと嫁&娘エピソードが多いのだが、なんといってもヤンキーキャラの奥さんのツッコミが最高! 奥さんが登場するたび、今回はどんな鋭いツッコミが……とドキドキワクワクせずにいられないっ!!
著者がこよなく愛する遊びであり、もはやライフワークともいえるガシャ○○バトルのネタも鉄板。
道端の小さな祠を見て「ここで闘いをしたら絶対カッコイイ!」とドキドキ、あげくネットで祠を注文しようとしたり、しょぼいキャラが勝ったときの「およびでない」感に高校時代の我が身を重ねて悶絶したり……。そういや子どもの頃ってこういう感じだったなあ……と遠い目をした瞬間、現実のキモ中年がニヤニヤする図を想像し、おもわず苦笑。
社会不適応な自身の情けなさをさらけ出し、ユーモラスななかに不思議な叙情をかもし出す彼の私小説的世界は、現代のつげ義春といえなくなくもない。
毎回そえられた編集担当T田氏の自由すぎるコメント(作品とのボケツッコミというより、ボケボケ!?)も、クセになる味わい。
ネットで読んでいても、つい単行本で読みたくなる不思議な魅力のシリーズだ。
毎日連載だけに次巻は早くも4月23日発売。
カバーを取った本体表紙も、しかと確認したうえで、ココロして待て!
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69