『フラウ・ファウスト』第1巻
ヤマザキコレ 講談社 \581+税
（2015年4月7日発売）

『魔法使いの嫁』の作者の最新作。
ヨーロッパに広く知られるトリックスターであるヨハン・ファウストと、彼と契約した悪魔メフィストフェレスの物語がベースにある。

ゲーテの『ファウスト』や、水木しげるの『悪魔くん』など、ファウストとメフィストフェレスを題材にとった作品は数多い。

本作は、なんらかの「ゲーム」をメフィストフェレスとの間に開始したファウストが、不死となった女性の肉体「ヨハンナ・ファウスト」として放浪を続けるという、設定だけ見るとかなり破天荒な内容。
しかし、作者のストーリーテリングの技術は確かなもので、読者は違和感なく作中世界になじんでいけるだろう。

なんと言っても、いわゆるマッドサイエンティストの原型のひとりとも言えるファウスト博士を女体化、従来のトリックスター的側面を超える活躍をさせているのがすばらしい。

＜文・永田希＞
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい！2014』のアンケートにも回答しています。
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