乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ 2
大西巷一 双葉社 ¥670
(2014年5月10日発売)
15世紀中央ヨーロッパ。私利私欲で動く十字軍に家族を殺され、陵辱にあった少女・シャールカが見た、「騎士殺し」ことフス派の指導者ヤン・ジシュカ。本作は、彼の知略を描く物語だ。
ジシュカの考える作戦は、当時としてはどれも常識外れ。
作戦1:非力でも扱えるピシャーチャ(後のピストル)を女子供や農民に持たせ、騎士と戦わせる。
作戦2:ジシュカの率いる一般人には「騎士道」がない。そのため軍規を作り、集団の統率を保った。
その結果、10万の騎士VS2千人の一般人という無茶な戦いで、騎士の軍勢を農民がなぎ倒してしまう。その描写はじつに快感……なのだが、やっていることはじつにクレイジー。信仰心まで利用して、自爆作戦すら行うんだよ?
読者は戦乱に翻弄され続けるシャールカとともに、暗黒の中世ヨーロッパの古い体制の狂気と、新しい世界を開くジシュカの狂気の両方を体感できる。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
個人サイト たまごまごごはん