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『予告犯-THE COPYCAT-』第1巻 筒井哲也(原案) 小幡文生(画) 宝生仁海(協) 【日刊マンガガイド】

2015/05/14


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『予告犯-THE COPYCAT-』第1巻
筒井哲也(原案) 小幡文生(画) 宝生仁海(協) 集英社 \562+税
(2015年4月17日発売)


下流社会の現状をえぐり、実際に起こったさまざまなサイバー事件をモチーフにして描かれた筒井哲也の重厚なサスペンススリラー『予告犯』。「ジャンプ改」での連載は2013年に完結したが、生田斗真の主演で映画化され、再び注目が集まっている。

『予告犯-THE COPYCAT-』はサブタイトル通り『予告犯』に登場するテロ集団“シンブンシ”の模倣犯を主役に据えたスピンアウト作品。
不況のあおりを受けて困窮した人間ばかりが取り残されたボロボロの団地に住む3人の高校生が、最底辺から抜け出すためにシンブンシの名をかたり、ネット上で義捐金を募って凄惨な制裁を開始する。

本物のシンブンシのような綿密に練られた計画も大儀もない。
10代の彼らはただただ世の中の不公平を呪い、自分の内側にためこんだ泥水を吐き出すのみである。
本家とはほど遠い短絡的な思考や稚拙な行動に首をひねる読者もいるかと思うが、そうした劣化コピーぶりこそが模倣犯としてのリアリティともいえよう。

作画を担当するのは小幡文生。『シマウマ』で読者のドギモを抜いた陰惨なバイオレンスシーンを、本作でもぞんぶんに見せつけている。

願わくば、若き模倣犯たちに一片の救いがあらんことを(恐らく悲惨な最期をとげると思いますが……)。



<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。出身地の立川を舞台にした映画『ズタボロ』(橋本一監督/5月9日公開)の劇場用プログラムに参加します。
「ドキュメント毎日くん」

単行本情報

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