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6月1日は牛乳の日 『観用少女 プランツ・ドール』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/06/01


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『観用少女 プランツ・ドール』第1巻
川原由美子 朝日新聞社 \800+税


今日6月1日は、牛乳の日。世界でも「World Milk Day」とされている。
この時期、牧草は青々と茂り、放牧された牛たちは喜んでそれを食む。そして牛たちが出すミルク、それをもたらす命や自然、働く人々に感謝する祝祭が世界各地で行われるからとのこと。

さてここで、ミルクで育つ美しい少女たちの話をしよう。
メインの食事は一日3回のミルク。週に1回程度の砂糖菓子はあくまでもおやつ。
彼女たちは「観用少女(プランツ・ドール)」。
このうえなく美しい少女の姿をして、人間と同じように動き、笑い、眠る。香り玉を与えれば、えも言われぬ芳香を放つ、奇跡の生き人形。

観用少女はとてつもなく高価で、彼女たちのほうが客を選ぶ。
気に入った相手に懐いてしまうとほかの誰にも目を向けなくなり、心の交流、すなわち愛情が欠乏すればしぼんでしまうデリケートな感覚の持ち主なのだ。

川原由美子の繊細なタッチで描かれた観用少女は、その性格によって顔つきも違い、キツい表情の子も、優しく穏やかな子もいる。
いずれにしても本当に可憐で、とにかく見惚れてしまう。ただ少女たちを愛でるために、ページを繰ることさえあるくらいだ。

人間たちは、愛らしい観用少女に天使を見る。少女たちの笑顔が見たくて、喜ぶ姿が見たくて必死になる。
彼女らをめぐって悲喜こもごもの物語が生まれ、時に背すじの寒くなるような結末も待っている。
人はみんな、観用少女を愛するようにだれかを愛したくて、そして本当は観用少女のようにだれかに深く、強く愛されたいのかもしれない――そんなふうに考えさせられる部分もある作品だ。

ところで今日は、牛乳の日と同時に「真珠の日」でもある。
6月の誕生石が真珠であり、その1日目を記念日としたそうだ。

美しく艶やかな真珠は、「人魚の涙」とも言われる宝石。
じつはこの作品にも、それを思わせるものが登場する。
観用少女が流す涙は「天国の涙」と呼ばれて、時に人形本体よりも高値で取引される稀少な品。宝石の色は、人形がそれを流した時の状況によって違うらしい。

ということは、真珠の色つやにそっくりの「天国の涙」も、場合によっては存在するのだろう。
このマンガを読んで、そんな幻の宝石を想像してみたりするのも一興ではなかろうか。



<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」

単行本情報

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