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『未知庵の1 三時のお水』(未知庵)ロングレビュー! 眠れぬ夜に読んで、さらに眠れなくなるシュールな世界

2014/12/24


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『未知庵の1 三時のお水』
未知庵 朝日新聞出版 \580+税
(2014年10月7日発売)


本作品は、2014年10月1日から31日までに発売されたマンガを対象とする「12月の『このマンガがすごい!』ランキング オンナ編」の第2位に突如現われた、未知庵による短編集。
選者のオススメコメントを見ても、いわく「ジャンル判別不能」、いわく「なんなんだこのマンガは!」と、作品のあらすじをひとことで説明しようとする気持ちをへし折ってくるコメントの数々。
そりゃそうだ、こんなマンガ、今まで読んだことないんだから!

未知庵ワールドのオーバーチュアとも言える短編のひとつ「七味」では、麺でも食べようかと台所の奥から七味唐辛子を取り出した女性が、ふたを開けたとたんに現われた謎の怪人と遭遇する。異様に腰の低い怪人にほだされた彼女は、空腹と思しき彼に麺をふるまうが……。

七味からでてきた正座したオジサン。ボタンを上までとめて蝶タイした紳士(?)なこの怪人、このあと予想のナナメ上の行動にでる![

七味からでてきた正座したオジサン。ボタンを上までとめて蝶タイした紳士(?)なこの怪人、このあと予想のナナメ上の行動にでる!

「ちがうんです森永さん」の天使、「お地蔵様」のお地蔵様など、登場キャラクターの大半は異形というか非日常のカタマリ。
なかでも、少女が夜中にトイレで“出会って”しまうエピソード「ああ~」では、彼女が出会うのは便器のたまり水に温泉よろしくつかりながら鼻歌で一杯きこしめす小さいオッサン。
「おじょうちゃんもいっしょにどうかね?」と誘われた少女は、反射的に洗浄レバーをクイッとひねってしまう。当然ながらオッサンは「ああ~」と流されてしまうのだが、秀逸なのは彼がもたらした状況。少女の“その後”にもう2つ3つ、オチを持ってくるところがすごいと思ったしだいである。

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単行本情報

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