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『ドリィ キルキル』第2巻 蔵人幸明(作) ノ村優介(画) 【日刊マンガガイド】

2015/06/04


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『ドリィ キルキル』第2巻
蔵人幸明(作) ノ村優介(著) 講談社 \429+税
(2015年5月8日発売)


突如、世界中の人間を襲った異変。身体を熔解・崩壊させる毒液を注入する羽虫の襲来と、その直後にあらわれた巨大な人形(ドリィ)のような姿をした怪物たち。
ドリィは人類からの攻撃をバリアで防ぎ、人々を吸引し連れ去っていく。

そんなドリィに親友・まっつんを殺され、あこがれの先輩・熊野蓮(くまの・れん)を連れ去られた主人公・斑鳩射馬(イカルガ・イルマ)は絶望の日々を送っていた。
ある日イルマは、ドリィを合理的に分析して戦おうとする「トライアル&エラー」というグループと接触する。「トライアル&エラー」はその名のとおり、ドリィに対して様々な試行錯誤を繰り返し、謎に包まれたドリィの実態を探り、打倒しようとしていた。

イルマが「トライアル&エラー」に合流する直前、ドリィに連れ去られたはずの熊野センパイがイルマの前に姿を現す。センパイはドリィに殺されたはずでは……!?
絶望と希望の入り混じった困惑に陥るイルマだったが、ドリィからのすさまじい攻撃を前に、強制的に退避することに。

「トライアル&エラー」のドリィ捕獲作戦のなかで、イルマはドリィのバリアを突破できることが判明。
ドリィ同士ではバリアが無効になることがあるため、イルマがなぜかドリィから同種として見なされているのでは、という疑惑が持ち上がる。そんなおり、イルマ同様にドリィのバリアを突破できる者が現れる。

行方救仁(なめかた・きゅうじん=キュージン)。ドリィのバリアを突き破り、じかに拳をドリィに叩きこむことができるキュージンは、みずからの能力を「幻気功(ファンタスマ)」と呼ぶ。キュージンが「先生」と呼ぶ人物から教えられたこの能力を使って、連れ去られた先でキュージンは熊野センパイを守ろうとする。

ドリィの住みか「ドールハウス」において、キュージンと熊野センパイが出会うのは、「ドリィは宇宙人で生物学者である」と語り、「ドリィと人間の架け橋」「仲介人」を自称する人物。キュージンたちの質問に答えてやると言いながら、ドリィに彼らを襲わせるなど、謎に満ちた存在だ。

一方、ドリィとの戦いで片足を失ったイルマは、小さな異形物を含む血を突然吐き出す。
医療調査ではわからない異変を彼は感じていたが、「トライアル&エラー」がアメリカとの共同作戦で「ドールハウス」を攻撃することを知り動揺する。「ドールハウス」には熊野センパイがいるかもしれないのに!

“突然現れた謎の強力な化け物に人類が蹂躙される”系の中でも、敵キャラのかわいらしさと、人間側登場人物たちのキャラの立ち方が特徴的な本作。
まだまだ謎が残っているのに、ストーリーの進展も激しく飽きさせない、良作である。



<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
Twitter:@nnnnnnnnnnn
Twitter:@n11books

単行本情報

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