『アフリカのサラリーマン』第1巻
ガム KADOKAWA/メディアファクトリー \533+税
(2015年5月27日発売)
動物をキャラクターにしたサラリーマンものとくれば、どこかなんだかゆるいおもしろさのマンガを想像してしまうもの。ただ、本作はゆるい笑いも随所にありながら、むしろピリッとエッジが利いているのが読みどころだ。
主人公は、ライオンとオオハシ(大嘴)とトカゲ。
先輩のライオンは肉食獣だけにりりしくて威厳を保ちながらも、視力の衰えが気になっていて「糖尿病が怖い」とつぶやく既婚者。
後輩のオオハシとトカゲもまだ若手ながら(いや、若手だけに!?)、それぞれファストフードを前に、「アブラっこいのダメになってきた」「俺もジャンクは健康が気になる」。
ゆとりすぎるオオハシと、イケメンであるらしいトカゲ、そして一番真っ当な(?)ライオン先輩が、今日も仕事やアフター5に小さなことや大きなことでグタグタしていて!?
そう、本作にあるのは、そのままサラリーマンもののおもしろさ。
やる気があったりなかったり、空まわりしたり、うまく立ちまわったり、世知辛い会社勤めとサラリーマンの悲喜こもごもが動物で描かれているのだから、たまらない。
その随所、随所にその動物ならではの習性や特徴がギャグとして挟まってくるのもポイント。
twitterやpixivで話題を集めた作品の単行本化。これを機会に、あなたも動物リーマンたちのサバンナにはまってみては?
<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2015 Spring』が3月14に発売に。映画『暗殺教室』パンフも手掛けています。