『俺のマイボール』第1巻
土田世紀 双葉社 \533+税
1861(文久元)年6月22日、長崎市の大浦居留地に日本初のボウリング場、インターナショナル・ボウリング・サロンが開設された。
これを記念して日本ボウリング場協会は6月22日をボウリングの日に制定。各地のボウリング場ではさまざまなサービスが行われている。たまにはボウリング場に出かけてみてはいかがだろうか。
てなわけで本日の「きょうのマンガ」はボウリングをモチーフにした隠れた名作、ツッチーこと土田世紀の『俺のマイボール』だ。
悪さばかりやっているチビでさえない不登校中学生のレイジは、オンボロのボウリング場で出会った“未来の俺”を名乗る謎の男からボウリングを教わることになる。
いっぽう、かつてレイジと無二の親友だったヒデは、突如中学デビューを果たして年上の半グレとつるみ、怪しげな商品を売りさばいていた。
レイジが知らぬ間にヒデもまたボウリングを始めており、2人は己のプライドをかけて勝負をすることに!
本格的なボウリング対決を描くいっぽう、連続殺人事件などを絡めてツッチーお得意のバイオレンス展開もふんだんに。
全体的にはツッチー節がうなりまくる人情劇で仕上げられており、時間を忘れて笑い泣きをしている間に全3巻完読すること必至だ。
ボウリングはだれでも一度は遊んだことのある身近な娯楽の割に、マンガとしてのモチーフにしづらいようで、なかなかヒット作が出てこない。『俺のマイボール』も1年持たずに短命で終わってしまった。
70年代に中山律子らスター選手を輩出し、空前のブームが巻き起こったのも今は昔の物語。全国のボウリング場の数は、ピーク時の3分の1程度にまで減少している。
幕末の世に伝来してから150余年の歴史を誇るボウリング。現在でも女子選手が集う「Pリーグ」にはアイドル顔負けの美人プロがズラリとそろっているし、何かのきっかけで人気が再燃してもおかしくないと思うのだが……。
社会現象になるほどのロードバイクブームを巻き起こしている、『弱虫ペダル』のような、ボウリングマンガの登場を心待ちにしております。
<文・奈良崎コロスケ>
マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。BSスカパー!オリジナル連続ドラマ『アカギ』の取材で津川雅彦さんにインタビューしました。津川さんが鷲巣役なら文句ナッシングでしょう。7月のオンエアがめっちゃ楽しみ。