『路地裏しっぽ診療所』第1巻
斉藤倫 集英社 \453
(2014年5月23日発売)
猫が大好きな作者が、ずっと描きたかったという、動物たちと獣医の物語。
様々な事情を抱えた動物がいる七宝動物診療所で、ひょんなことからバイトをすることになった雨野なずな。ちょっぴり動物が苦手というなずなが、怖面な獣医・二丸に教えられながら動物たちの世話をし、絆をつくっていく。
動物のかわいらしさや、なずなの一生懸命に頑張る姿が、丁寧に描写されているだけではない。ほのぼのとした雰囲気を醸し出しつつ、ペット産業が直面する現実的な問題もきちんと取り上げられているのが読みどころ。
かわいいだけでペットを飼い、いらなくなったら放棄してしまうという無責任な飼い主のエピソードからは、作者が本当に描きたかったであろうことが感じられる。
また、ふんわりとした優しいテイストの絵柄で、シリアスなストーリーが重くなりすぎず、読みやすい仕上がりになっているのもオススメです。
<文・小林美姫>
ぴあを経てフリーで活動。『井上雄彦ぴあ』『ワンピースぴあ』『ポケモンぴあ』『プリキュアぴあ』『細田守ぴあ』(ぴあ)、『プリキュア10周年公式ブック』(メディアパル)など。
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