『うちの妻ってどうでしょう？』7巻
福満しげゆき 双葉社 \750+税
（2015年5月28日発売）

「ガロ」の遺伝子を正しく受け継ぐ作家でありながら、メジャー誌でいくつも連載を抱えるなど、見事なブレイク!? を果たした、福満しげゆき。
なかでも『うち妻』は、文化庁メディア芸術祭マンガ部門奨励賞を受賞するなど評価も高く、かれこれ8年という長期連載となったが、先日ついに連載終了。この7巻が完結巻となっている。

8年の間に2人の子どもに恵まれ、夢のマイホームも購入……と、環境こそ激変したが、著者の世間への愚痴と妬み、「妻」への愛情に変わりはナシ。
「方言、天然、ぽっちゃり」というマニア心をくすぐるポイント三拍子揃った「妻」のなにげない日常の言動をマニアックに観察。
絶妙な萌えポイントを発見＆披露（自慢？）してみせる芸風は、たんに「愛妻家」というより、ほとんど「妻オタク」。

料理しながら無意識に○○○○を平らげ「食欲のなかったい…」と浮かない顔をする「妻」ってば……。もー女の私ですら、たまらんですたい！

いうまでもなく「妻」は、　福満作品のミューズであり、昨今のマンガ～アニメシーンにおいても語り継がれるべき「萌えキャラ」なわけで。
連載終了後の生活不安とともに、「妻」への愛と感謝をネチネチと綴りあげた、著者あとがきには胸を打たれつつ、これで当分お別れか……と寂しさがしみじみこみあげてくる。

ワンパターンでもいい、新シリーズでの妻復活を切に期待！

余談ですが、福満氏といいカラスヤサトシ氏といい、社会性の欠如した（本人曰く）オタクって、愛妻家が多いような……。
独身女子諸君、幸せな結婚生活を望むなら、このテの男性はかなり大穴カモです。

＜文・井口啓子　＞
ライター。月刊「ミーツリージョナル」（京阪神エルマガジン社）にて『おんな漫遊記』連載中。「音楽マンガガイドブック」（DU BOOKS）寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter：@superpop69