『迷宮ロマンチカ』第1巻
藍川さき 秋田書店 \429+税
(2015年6月16日発売)
目が覚めれば着物に袴、見知らぬ部屋で見知らぬ娘の姿になっていたとしたら。
――はたしてあなたは、どうするだろうか?
主人公の高校生・下月あかりは、頭のなかに響く謎の女性の声に悩まされていた。
早くきて、私と同じ魂を持つ娘……。
ある日、あかりが好きな男の子に告白しようとした瞬間のこと。
また不思議な声がして、不意に意識が遠のき――気がつくとあかりは、自分がいつもと違う肉体のなかにいることに気づく。
その身体の主こそが謎の声の女性、東雲紗夜子(しののめ・さよこ)だった。
別の時代に生きる紗夜子の肉体のなかで、「姫様」と呼ばれる暮らしを始めることになったあかりだが……?
美しい、くっきりとした絵柄で巧みに描きだされる、時空を超えた異世界でのファンタジー。
明治から大正時代を思わせる物語世界は、絵的にもとても魅力的だ。
また萌えポイントであるイケメンたちも、しっかり3名登場。
書生風の身なりをした、姫様の側近的立場にあるクールな千影(ちかげ)。
妹を助けられて以来、姫の護衛を買ってでている、オレ様タイプの時雨(しぐれ)。
そして姫の婚約者である、ミステリアスな九条院樹(くじょういん・いつき)。
三人三様のキャラクターで、彼らとあかりとの様々なラブ・ハプニングを今後は期待したいところ。
東雲家は代々、重要な役割を担ってきた家だ。
因習に囚われてきた家だといってもいいだろう。
その秘密を知ったあかりが、これからどういうかたちでそこに新しい風を吹きこみ、問題を解決していくのか。
そしてそれを、著者がどう見せてくれるのか。なかなか、この先が楽しみだ。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」