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『木珊瑚の島』 須藤真澄 【日刊マンガガイド】

2015/07/24


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『木珊瑚の島』
須藤真澄 KADOKAWA \780+税
(2015年5月25日発売)


「月刊コミックビーム」の人気読み切り連載『庭先塩梅』のコミックス第5弾。

現代の日本に遠い異国(ミャンマーの少数民族!?)、宇宙にあの世まで、様々な場所で様々な人々が出会う、ちょっと不思議でおかしくも優しく、愛おしい物語10篇を収録。

なぜか怪異に遭遇してしまう姉妹、東京で変な店を営むゲイ3兄弟、どうしようもなく不運に見舞われてしまう美大生、亡き息子の思い出をともに旅を続ける幻灯機のお爺さん……。 それぞれに独立した短編描きおろしとはいえ、これまでの作品集に登場したキャラクタのエピソードも少なくなく、以前からの読者なら、思わず「元気だった?」と声を掛けたくなる人なつっこさもあり。
ファンタジーファンをうならせる、いかにも奇想天外な設定やアッと驚くしかけはないが、だからこそ、妙にリアルでほっこりあたたかな読後感が魅力だ。

自分が過去に見てきた記憶を映し出す、お爺さんの幻灯機さながら、自分の遠い記憶をズブズブとまさぐって、のぞき見るような……。
懐かしさとヤバさがじわじわと後をひく、アシッドファンタジーだ。



<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69

単行本情報

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