『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』
荒木飛呂彦 集英社 ¥2,667+税
フランスの国立美術館・ルーヴル美術館の名前を知らない人はいないだろう。
もとは要塞として建設されたルーヴル城が、美術館として正式に開館したのは1793年の8月10日。
そしてルーヴル美術館でマンガといえば、なんと言っても「ルーヴル美術館BDプロジェクト」だ。
フュテュロポリス社と共同で「ルーヴル美術館を題材としたオリジナル作品」を制作する本企画。
ニコラ・ド・クレシーやマルク=アントワーヌ・マチューといった世界的ビッグネームが並ぶなか、第5弾には日本からもあの漫画家が参戦ッ!
『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』、荒木飛呂彦が描いたフルカラーマンガだ。
『ジョジョの奇妙な冒険』第4部に登場する漫画家・岸辺露伴が17歳のところからスタートする本作は、その10年後、「青春の慕情」とでもいうべき理由で露伴がルーヴルへ赴くことになる。
かつて要塞だった名残のある、複雑怪奇に入り組んだルーヴル美術館の地下倉庫で、露伴はある出会いを果たす――。
荒木飛呂彦が実際に現地取材を行い描いた本作は、この酷暑に読むにぴったりな、ちょっと不気味でちょっと切ない怪異譚となっている。
なお本作の冒頭部分は、「小さなデッサン展 -漫画の世界でルーヴルを-」に展示、日本のマンガ作品ではじめてルーヴル美術館に飾られた作品となる。
<文・高瀬司>
批評ZINE「アニメルカ」「マンガルカ」主宰。ほかアニメ・マンガ論を「ユリイカ」などに寄稿。インタビュー企画では「Drawing with Wacom」などを担当。
Twitter:@ill_critique
「アニメルカ」