『たどるゆび』
高崎ぼすこ 竹書房 ¥657+税
(2015年7月17日発売)
Sな俺様と内気青年の、とにかく心も身体も溺れるラブストーリー。
大手メーカーでデザイン助手をしている主人公・花村尚也。
上司の佐井の結婚話を聞いてショックを受け、どうやら自分が彼に恋心を抱いていたと悟る。
そんな失恋状態の尚也の前に現れたのは、取引相手の敏腕デザイナー・高瀬修二。
尚也の能力を認め、そしてハートも肉体もすべて奪っていく修二だが――。
さてまず、眼鏡のS系俺様好きな方には絶対にオススメ。
「S」の攻めは強引に受けを引っ張っていくものだが、それが無理矢理に見えるとどうしてもいくぶん興ざめ感があるかと思う。
が、修二はまず、尚也の才能を瞬時に見抜く。
そしてこれまで、尚也が上司の佐井のために尽くしていたことにも気づいてしまう。
そんな敏い、できる男だからこそ、尚也も、そして読者も修二に惹かれ、身も心も任せてかまわない、という気持ちにさせるのだ。そのあたりのテクニックはさすが。
なにしろ絵が綺麗でスタイリッシュであり、線も、そしてその線が描く肉体も美しい。
また攻め側のかっこよさに呼応するように、受けもきっちりエロい。
そういう場面の描写や台詞回しも、かなりドキドキさせてくれる。
理想的BLマンガと言える1冊ではないだろうか。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」